キャリー (新潮文庫)
キャリー (新潮文庫) / 感想・レビュー
Tetchy
モダンホラーの巨匠スティーヴン・キングのデビュー作にして幾度も映画化された有名作。単純至極なシンデレラ・ストーリーに念動能力を持つ女子高生の復讐というカタルシスとカタストロフィを混在させた物語を、事件を後追いするかのような文献や手記、関係者のインタビューなどの記録を交えて語る手法が当時は斬新で広く受けたのではないだろうか。とにもかくにも主人公キャリーの生き様の哀しさに尽きる。今では実にありふれた物語であろう。が、しかし物語にちりばめられたギミックや小道具はやはりキングのオリジナリティが見いだせる。
2016/10/30
ケンイチミズバ
生まれたら親がカルトだった件、元首相を撃った青年の生い立ちにも思いを馳せた。思春期のモヤモヤした体の変化は罪悪。生理は穢れ。彼女は始まった時に取り乱しクラスメイトからおもちゃにされた。家では罵られ殴打された。シャワー室での騒ぎの中、廊下の照明が破裂したが誰も気付かない。母親に折檻された時は石を降らせた。ラストの辱めはエスカレートしそんなものでは済まない惨状へ。母親が厳格な宗教観念で幼い子供を縛り自由を与えない。与えるのは罰だけ。イエスは壁から見守っている。けれどその顔は石のように冷たい。誰も救えなかった。
2022/09/12
ゆいまある
キングの衝撃のデビュー作にして出世作。今更ながら初めて読んだ。狂信的な母親に虐待を受けている宗教二世でスクールカースト最底辺のキャリー。おぞましい虐めを受け、大量の豚の血を浴びせられた結果、超能力が暴走。街を滅ぼす。ストーリーはシンプルだし話も短い。驚くのは虐められたキャリーを守ろうとする校長など、まともな人がちゃんと登場している所。どこか正義を愛するキングらしい。脇役までよく作り込まれているからこそ群像が生きてくる。改めて人を描ける人だなと思った。
2024/09/12
遥かなる想い
スティーブン・キングの処女作。 巻末の 解説を 読むと、一人のベストセラー作家が 誕生する ごくささいな エピソードが 書かれていて 興味深い。 私自身は、スティーブン・キングの 熱心な読者ではない、ので 他の作品と 比べることが できないが、 ・ 青春小説と ホラー小説を 上手に融合させ、読者に 飽きを もたらさない ところなどは、一種の 才能かもしれない。
2004/01/01
Koichiro Minematsu
2021年の読書締めくくりは本書になりました。スティーヴン・キングのデビュー作。恐怖小説でもあり青春小説の要素も。著者の日常に抱える不安の塊が小説の中で恐怖として現れるので、スティーヴン・キングは恐怖に陥れる天才。これからも棚にはスティーヴン・キング作品は増えていきそうです。
2021/12/30
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