トム・ゴードンに恋した少女 (新潮文庫)
トム・ゴードンに恋した少女 (新潮文庫) / 感想・レビュー
Tetchy
森に迷った9歳の少女トリシアのサバイバル小説。本来ならば行方不明の側の決死行と彼女を捜索する側両方のドラマを描くのが定石だが、キングはその筆のほとんどを遭難者側しか描かない。この1人の少女の孤独な戦いをじっくりとねっとりと描いていく。前半はユスリカやヌカカやスズメバチの大群の虫との戦い、そして飢えへの戦いへと移っていく。まあとにかく作者は容赦なくこの少女に色んなものを食べさせる。そして題名が過去形になっていることが読書中、ずっと気になっていた。果たして無事少女は助かるのか?それは読んで確かめてほしい。
2022/12/20
chiru
メジャーリーガー、トム・ゴードンを敬愛する9歳の少女は、森で家族とはぐれ遭難。 サバイバルスキルのない彼女の命綱は、電池残量わずかなラジオから流れる試合の実況中継。 物語は『森(異界)VS孤立無援の少女』とシンプルだけど、都会っ子の少女がどう乗り切るのか最後まで気を抜けない。 絶体絶命の試合でたったひとり闘った少女に訪れるゲームセットは逆転勝利! 過酷な現実との間のクッションになり少女を支え続けたのは『豊かな想像力』でした。 遭難したのが自分だったらって思うとすごく怖い作品(ノ_・。) ★4
2018/09/12
goro@80.7
「森に女の子が一人」なんて言う設定でここまで書けるのがキングなのですわね~。現世とトリシアをつなげるトム・ゴードンにラジオ。レッドソックスファンのキングならではの物語で流石に最後は決めてくれたね。お山に行くときはラジオは忘れずに持って行こう!それとどんぐり食べられるかチャレンジしてみるか。表紙のイラストもいい味です。
2019/01/29
ざるこ
ママと兄との気の進まないピクニック。遊歩道を少し外れただけのトリシアが体験するサバイバル劇。怖い、寂しい。1人森をさまよい泣き叫ぶ。まだ9才。それでも子供ながらの空想と大好きなレッドソックスのトム・ゴードンの活躍をラジオで聴くことで正気を保とうとする。森の奥から感じる「あれ」の気配には背を向けながら…。蚊や蛇との闘い、腐臭を放つ沼、空腹。つらい。「きっと最後は助かるよね」と読みながら救済を望む。日を追うごとに衰弱し幻覚と悪夢を見ながらも自分に打ち勝とうとする。「頑張れ!」と見守りながらの読書になります。
2019/08/27
おすし
9歳の女の子が森で遭難。推しの野球選手トムゴードン彼を心の支えにサバイバル、ちょっとガラの悪そうな親友ペプシについての回想もいい味出してた。キングにしてはページ数少なめ?(270P)と思いつつ読み始めたものの、いやいや短くてよかったよ~耐えられないよ~もうそんなヒドイことにしないで~辛いことにしないでぇ~神様!キング様!! という心境。「ママ助けて!」っていうのがあまりなくて、トムとペプシをひたすら幻の話し相手にしてるとこがもう…毒親未満だけど親の顔色を見てムードメーカーやってる子結構あるある…。
2023/01/25
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