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殺人者たちの午後 (新潮文庫)

殺人者たちの午後 (新潮文庫)

殺人者たちの午後 (新潮文庫)

作家
トニー・パーカー
沢木耕太郎
出版社
新潮社
発売日
2016-04-28
ISBN
9784102200315
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殺人者たちの午後 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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びす男

「社会は俺に当然の報いを与えた。でもそれは社会の人が思っているよりずっときついものなんだ」。殺人を犯し終身刑を命じられた10人の告白。卓越したインタビューによって引き出された話からは、殺人や、殺人者たちのさまざまな内面を垣間見ることができる。普遍化できるかどうは問題ではない。一つ一つがそれぞれ、面白くて貴重な証言であると感じた。

2016/07/09

SAT(M)

日本でこの手の犯罪者ドキュメントをやると、「とんでもないことをしてしまった。遺族に申し訳ない」路線か、その路線に行かなければ、”ヤバい”殺人鬼扱いかの二択になりがちですが、ここに出てくる犯罪者達はどちらでもなく、あたかも他人事のように淡々と自身の殺人や、かつての過ちとは切り離されたかのような平穏な今の生活を語っているケースが多いです。日本だったら「反省が足りない!」と言われそうですが…。単にイギリスとのお国柄の違いなのか、それとも、一旦過ぎ去ってしまうとどんどん遠ざかってしまうのが犯罪のリアルなのか。

2018/01/28

Shoko

なんとなく題名だけは聞いたことがあって、てっきり小説なのだと思っていた。そうか、英国には死刑制度がないのか。殺人の刑罰は終身刑という英国で殺人を犯して服役中、あるいは仮釈放されて社会の中で生きることとなった10人に取材した衝撃の告白録。幼少期の話や、キレてしまう自分の衝動性を恐れる気持ちなど、さもありなんと思うことも多かった。そして訳者の沢木耕太郎もあとがきで指摘するように、多くの殺人が、綿密に計画された特異な行動によるものなんかではなく、台所のコップを取り落とすようにして行ってしまったものだということ。

2024/09/14

さゆき

10人の殺人者へのインタビューをアレンジしたノンフィクション短編集。インタビュアーのコメントは淡々と事実を述べるだけにとどめ、受刑者の告白から読者が直接何かを読み取れる形になっている。受刑者の多くが出所後の再出発を法に阻まれたと告白しているのが印象的。保護観察などの法制度は理に適っている一方、受刑者ひとりひとりの状況に合わせて対応することはやはり難しいのか。

2017/01/29

vaudou

死刑制度の存在しないイギリスで終身刑を宣告された殺人者たち。もう何十年も昔の出来事だったり、喚起を拒絶した記憶がトニー・パーカーとのダイアローグによって引き出される。向き合い方はそれぞれあるが、(一時の過失で済ますもの、残りの人生を贖罪と悔悟に暮らすもの、新たな出会いや宗教に救われる人)回想による語りはすべからく揺曳を伴う。これからも正気で生きていくための、ある種の歪み。

2016/05/31

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