恐竜物語 (新潮文庫 赤 211-1)
恐竜物語 (新潮文庫 赤 211-1) / 感想・レビュー
なる
『華氏451度』や『ウは宇宙船のウ』などで知られているSF作家であるレイ・ブラッドベリの描く恐竜にまつわる6編の物語。幼い頃に恐竜映画に触れて以来、恐竜に心を奪われたというブラッドベリ。同じ名を持つ特撮映画のレジェンドであるレイ・ハリーハウゼンとの交歓が冒頭に語られたあとは、恐竜にまつわる短編や詩が綴られている。灯台守が恐竜に遭遇する『霧笛』、作者の少年時を想像させる『恐竜のほかに、大きくなったら〜』も良いけど禁忌を破って未来が変わる『いかずちの音』が好き。メビウスなどデザイナーによる挿絵も魅力的。
2022/08/12
イプシロン
ブラッドベリの作品には優しさがある。それを裏返した意地悪な物語もあるが、それは表現手法の裏表なのだろう。『ティラノサウルス・レックス』は傑作かなと。レックスのもつ凶暴な怪獣の印象と映画プロデューサーの傍若無人さを重ね、レックス(プロデューサー)の凶悪という印象を払拭してゆく様は痛快だ。自分の思い通りにしたいという子供心があるゆえに、怪獣映画というジャンルが成り立つ。そんな暗示もあるのでは……。多分この作品は冒頭の献辞にあるように『ロスト・ワールド』を手掛けたウィリス・オブライエンへのオマージュなのだろう。
2015/11/07
shamrock
ああ、やはりブラッドベリはいい。超有名な一篇「霧笛」もさることながら、「恐竜のほかに、大きくなったら何になりたい?」がよかった。ブラッドベリの真骨頂を感じることができる。また、ハリーハウゼンを髣髴とさせるクリエイターの登場する「ティラノサウルス・レックス」もいい。そのハリーハウゼンによる序文も愛のある素晴らしい文章でした。もちろん、この本の売りであるところのイラストもマーベラス。
2014/08/15
KANEO
著者の恐竜小説ばかりを6篇収録した恐竜短編小説集。映画『原始怪獣現る』の原作にもなった、灯台を同族だと思い、それに恋してしまった恐竜の生き残りの孤独な姿を描いた『霧笛』が傑作なのはいわずもがなだが、本書で最も心に残ったのは著者の友人レイ・ハリーハウゼンによる序文と、それに続く著者のまえがきだった。そこに書き綴られている溢れ出さんばかりの恐竜愛こそが本書の最大の魅力ではないだろうか。同じように怪獣・恐竜に憧れた自分はそれに深い感銘を受けずにはいられなかった! 少年のまま大人になった。ステキじゃないか!
2015/07/31
ぜんこう
レイ・ブラッドベリの恐竜ものの短編と詩を挿絵付きで集めたもの。灯台が舞台の「霧笛」やタイムマシンで恐竜ハンティングにいく「いかずちの音」を読むのは何度目かわからないけど、挿絵がついたことによってまた楽しめた。
2018/09/16
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