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偉大なるデスリフ (新潮文庫 フ 23-1)

偉大なるデスリフ (新潮文庫 フ 23-1)

偉大なるデスリフ (新潮文庫 フ 23-1)

作家
C.D.B.ブライアン
村上春樹
出版社
新潮社
発売日
1990-08-01
ISBN
9784102330012
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偉大なるデスリフ (新潮文庫 フ 23-1) / 感想・レビュー

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ケイ

すごく素敵に裏切られた。後半の展開が、もう面白いじゃないの! タイトルから容易に想像出来る偉大なるギャツビー。前半はフィッツジェラルドへのオマージュが散りばめられ、フィッツジェラルドの他の作品【夜はやさし】などや、彼の私生活まで知らならきゃ、理解も難しくなる展開。なのに、後半でのガラリとした変化。悲劇に陥るかと思いや…。村上春樹はギャツビーからのつながりで訳したのかもしれないが、これは春樹らしさがどういう意味でも少なくて、楽しかった。

2020/04/15

akubi

アルフレッドの書ではそのナルシスト的一人称に少し滅入ってしまったけれど、LSDでとんだハワイのサンライズはとても美しかった。愛おしいふたりの兄弟。それぞれの書で語られるお互いのこと。うんざりするアリスに関しては、病院連れていってあげてよと思うし、華やかなパーティーの後の虚しさとか、生活してゆく世知辛さだとか。 探し物はみつかったか。って問われても、きっとずっと、答えられない。なんだか哀しくなっちゃった。けれど、ロマンチックな気分にさせられたのはほんと。追い求める幻影(ノスタルジア)があるのなら、まだまし。

2019/08/17

練りようかん

「アルフレッドの書」は『ギャツビー』よりも親しみやすい文体だ。今あのシーンに似ていた!と言い合い、フィッツジェラルドの時代を振り返るシーンは日本でバブルの時を思い返すのに似ていて距離感を掴みやすい。だが「ジョージ~の書」に入ると文体は一段硬くテンションは一段下がる。恋に恋して脳内のイメージだけが独り歩きし現実とのギャップをもてあます。“『卒業』のあの二人はその後幸せになったのか問題”を思い出す。『ギャツビー』を好きだからこそ見えてしまったもう一つのラスト。文学的にどうかわからないが皮肉にも面白かった。

2019/03/09

flat

翻訳者の村上春樹の指摘している通り欠点を比較的容易に指摘出来る作品であり、作品序盤だけならグレートギャッツビーの劣化コピーに過ぎず村上春樹がこんな作品を翻訳したのは何故だろう?という疑問符しか頭に浮かばなかった。しかし中盤に入り煌びやかな青春期から現実と向き合う中年期へと移行を始めるにあたって多くの幻滅が描かれ始める。最後まで読んで気付くのはこの作品が栄光なる時代への訣別をテーマとした作品であったという事であり、この作品の価値もそこにある。

2018/05/10

ヨシコウさん

フィッツジェラルドのギャッツビーに必要以上に重ねてしまうとデスリフと「僕」を見失いそうだ。容易に快楽に向い堕落してしまう世界で己を保つことと幸福は相容れないのか。望む物と手に入れた物が同じなら幸福なのか。2つの本のスピリットはまた読者に引継がれる

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