大聖堂 下 (新潮文庫 フ 24-3)
大聖堂 下 (新潮文庫 フ 24-3) / 感想・レビュー
翔亀
【コロナ20-3】12世紀英国の50年間を描いた大長編の終幕は、登場人物たちの長い波乱万丈の人生そのものの振り返りと重ね合わされる。キングズブリッジ修道院長よ(そしてアリエナよ、ジャックよ)、よく人生を生きたなと言ってあげたくなる。彼らの生きざまは深く心に留まることになるだろう。しかし、この作品の主役はやはり「大聖堂」だろう。架空のキングズブリッジの大聖堂がロマネスクからゴシックへと様式を変えながら徐々に進む建築史(当時建築に100年かかるのは当たり前だった)と、街が繁栄と衰退(破壊も)を繰り返した↓
2020/06/20
sakadonohito
アリエナの波瀾万丈さに、もしかして日本語の「あり得ない」から名前取ってない?と勘繰る程。襲い掛かる権力(謀略)・暴力に一瞬で安寧を打ち砕かれそうになる展開が最後まで続いてハラハラする。マーサの扱いが割とぞんざいで終わりの方は登場しなくなるのがちょっと残念だった。幸せな家庭を築くとか手に職身に付けて独立するとかの演出欲しかったです。全体としては大河ドラマて感じでとても良かった。
2022/02/21
味平
12世紀イギリスが舞台の、大聖堂建築を中心とした物語。堅苦しい歴史小説ではなく、半世紀にわたる壮大な群像劇でした。しかし…非常に長かった~(笑)人に勧められなかったら手に取ることがなかったであろう本。途中挫折しそうになりましたが、いつの間にか完全に登場人物の虜になっていました。みんなが歳を重ねていくのを見守っていく感じがなんともいえず、物語が終わってしまうのが悲しくなりました。酷い目にあっても強く生き、愛を貫き、幸せを勝ち取ったアリエナが大好きです。
2016/12/16
はる
図書館本。欲望の強い人たちになかなかついていけず、頭の中で建築物の壮大さがなかなか組みあがらず、遠く巡礼に出る気力も今はなく…マーサと美味しいご飯を作って暖炉の前で羊の毛を梳いて洗って紡いで、機織りをしたい気分。(ちょっと疲れたさ、皆強くて)元気がでたらヘンリー二世とトマス・ベケットの物語りを探してみよう。大聖堂の絵本とか写真集とかも。
2015/06/08
Nak34
読み終わりました。下巻は、かなり端折られた感じもありますが、上巻と中巻でも、十分に楽しめました。圧倒されたという方が正しいかもしれませんね。作者自身が、かなり調べ上げていること、中世社会の人々の心理まで詳細に描写されていることに驚きます。あっ、今気がつきました、不条理です。すごい、これは、大いなる不条理です。
2010/01/01
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