屍肉 (新潮文庫 カ 18-3)
屍肉 (新潮文庫 カ 18-3) / 感想・レビュー
キムチ
異能作家、カーの世界はどんどん底が見えない。ポストペレストロイカ、自由化民主化の波は20C半ばに壊滅の手が付けられたはずの露マフィアの復活巨大化へ繋がって行った。国家経済の心臓部に住み着き、一般市民の生活困窮をしり目に公務員警察は安月給に喘ぎマフィア等暴力組織のアルバイトにも手を染めている。暗部解明の密命でサンクトペテルブルグへ足を踏み入れたグルーシコ。米暗黒の町シカゴ、アンタッチャブルと似ていて非なりの臭い。体形も(おそらく)エリオット・ネスとは違うだろうな。聡明なロシア美人、ニーナはラストでシビアー
2022/08/23
ペグ
今まで気になっていたフィリップ カー。モスクワ中央内務局調査部中佐の(わたし)がペレストロイカ後のサントペテルブルクに、ある殺人事件を捜査するために派遣される。マフィアが暗躍するこの街で.刑事達との癒着は?可愛い娘の婚約者に嫉妬する無骨で真正直なグルーシコはちょっと可愛くて好感度高し。マフィアのチェチェン人、グルジア人等の長い長い名前に辟易しながらもどんどん引き込まれ一気読み!又一人贔屓の作家さんが\(^o^)/満足度100%の警察小説でした(^_^)v
2017/05/20
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
ペレストロイカ直後のサンクトペテルブルクで起こった殺人事件。グルジア人マフィア同士の攻防か。モスクワから派遣された捜査官は捜査を手伝いながら、地元警察の不正を探る。レニングラード封鎖がそのまま続いているような物資が不足しているロシア。にかわや練り歯磨きで自家製ウイスキーを作ったり、ひとかたまりのパンのために、早朝から列をつくる。お祝いのための牛肉を手に入れるためには、イギリス製の石鹸を売る。それにしてもロシア人の会話は面白い。米原万里氏が言った通り、卑猥でブラックジョークにみちみちているのだ。
2015/09/18
ひなた
★★★ベルリン三部作で有名なP.B.カー。今回はペレストロイカ後のロシア、サンクトペテルブルクが舞台の警察小説。マフィアと警察の癒着調査のためモスクワから捜査官がやってくるが、有名ジャーナリストの殺人事件が起こり対象の現地刑事と行動をともにする。混乱と飢餓の蔓延した都市はこの小説家の好みだろうか。ベルリン三部作同様その街の性格が小説に陰影を添える。物凄くおもしろかったとは言わないが、哀愁漂う物語の結末はやはりカーならではと思わせてくれる良作。
2013/04/03
CCC
これは中々いい。舞台設定は違うけれど、ベルリン三部作の延長で楽しめた。
2016/06/29
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