ベルリン・レクイエム (新潮文庫 カ 18-4)
ベルリン・レクイエム (新潮文庫 カ 18-4) / 感想・レビュー
キムチ
とある書き込みで知ったカ―。ナチスの闇を奥深く探るにはこれが極めつけと有り。。当然ながら濃密にダーク。予約での入手だった為 三部作のラストを読む羽目になった。ヒーローはグンター・・私立探偵。彼の目に映るナチス崩壊後1947年の情景が広がる。独裁体制が生み出した歪み切った醜悪な現実・・何が正で何が悪かは敢えて語らず。世界の権力絵図は米英仏VSソ・・闇市と人々の生活の困窮さ。ソ連兵の極悪ぶりの惨さが際立つ。冒頭で起こるグンターの殺人行為はそれをまざまざと表出させている。舞台はオーストリア、ウィーンへ。袋小路を
2022/08/20
chiseiok
ベルリン三部作最終巻、読めて嬉しい。相変わらず登場人物全員の台詞がいちいち諧謔味タップリ、もっと簡単に喋ってくれw。更には舞台が終戦直後のウィーンなのでプレイヤーは米+露+ナチ残党とくせ者大集合。当然二重スパイも居るし、利害の絡みが複雑過ぎ。見晴らしが悪過ぎておでこに冷えピタ貼りたくなった。と言いつつ霧が晴れ始めた物語半ば辺りからもうイッキ読み。前半のじれったさを補って余りある満足感。でもこの苦い結末にはスタインハウアー作品読了時にも感じた人間不信が頭をもたげますな…。元気出しなよ"酢キャベツ"グンター。
2017/09/29
harass
ベルリン三部作の三作目。1947年の荒廃したベルリンで探偵を営む主人公グンターは、共同統治のロシア軍情報員からの依頼を受ける。以前の刑事時代の同僚が濡れ衣で米軍に捕まったという。同僚はロシア側と取引がありヤミ取引で有名な男だった。彼の容疑を晴らすためにオーストリアに向うのだが…… 一作目では探偵小説、二作目では警察小説で、本作ではスパイものと趣向が変わる。グレアム・グリーンの第三の男のオマージュでもある。楽しめた良作。さて十数年ぶりの再読を終えた。未読の第四作目の予習はようやく終了。
2014/11/19
春ドーナツ
本書を開く前に、想像してみた。戦争中は私立探偵の出番はないだろう。戦後、東ベルリンが舞台なのではと。少し読み始めると、スターリン時代のソ連は私立探偵の活動を公に禁じていたらしいことを知った。1947-48年、ウィーンが舞台となる。裏表紙のあらすじによると「スパイ小説巨編」とある。毎回同一主人公なのだけれど、ジャンルを作品ごとに変えていく、というのはかなり変わり種なのではないでしょうか。「ベルリン三部作」とはかようなものであったのか、積年の溜飲が下がりました。みっつの物語で、どれが一番面白かったか?本書です
2023/09/07
ネムル
ベルリン・オリンピック前夜、水晶の夜事件ときて、三部作のラストは敗戦後の47年、四国に統治されたベルリンとウィーン。市民はみなナチスとの関係が無かったかの如く振る舞い、また米ソの思惑と緊張感のなか街は荒廃する。ハードボイルド、警察小説、エスピオナージと次々に体裁を変える小説、都市の変遷、楽しい三部作だった(『第三の男』はほとんど覚えてないが)。
2019/10/17
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