堕落刑事 :マンチェスター市警 エイダン・ウエィツ (新潮文庫)
堕落刑事 :マンチェスター市警 エイダン・ウエィツ (新潮文庫) / 感想・レビュー
Kircheis
★★★☆☆ 著者デビュー作。マンチェスターの刑事エイダン•ウェイツを主人公としたシリーズの第一作めでもある。 エイダンの一人称視点で物語は描かれ、自身の信念に従って行動するエイダンのキャラもあってハードボイルド風である。しかし、散々嘘をつきルールを破るエイダンのキャラに刑事という職業が合っておらず、設定は良くないように感じた。 サブキャラはそれなりに良いキャラが多く、特にドラッグクイーンのザ・バグは強烈な印象。女性陣も儚さが魅力のメンバーが揃っているが、サラとキャサリンのキャラは被りすぎだった気がする。
2023/03/28
モルク
シリーズ第1弾にしてデビュー作。押収品のドラッグをくすねて定職となった刑事エイダン。麻薬組織の潜入捜査、国会議員とその家出した娘、麻薬王ゼイン、その愛人サラ・ジェーン、そして集金係のキャサリンと、気になる人物が次々と絡む。窮地に陥るエイダン。どんどん迷路にはまり抜けられない。最初はなかなか入り込むことが出来ず途中断念か、と思ったが、なんのなんの。また続きが読みたくなる。エイダンは決してカッコいい訳ではないが、そのボロボロになっていく姿にはまっていく。いつの間にかエイダンから目が離せない。
2022/04/18
ずっきん
何が凄いってタイトルがすごい。文字通り「堕落刑事」の潜入捜査物ではあるが、これじゃ黒川さんとか矢月さんだと思うじゃない。この邦題つけた担当者に是非話を聞きたい(笑) 見事な比喩と情景の描写がマンチェスターの夜を切り取り、空気が肌にまとわりつくようだ。ただ、いかんせん人物が弱い。登場のさせかたもいまひとつでもったいない。わざと画を出さない引っ張りかたが上手くて一気読みしてしまったが、臨場感に乏しい。どうしても最近読んだ「ザ・ボーダー」のシレロと比べてしまう。こきおろしてるみたいだけど、続編は読んじゃうよ♪
2019/10/26
オーウェン
刑事エイダン・ウェイツシリーズ第1作。 タイトルにもあるように、堕落刑事としてエイダンは麻薬組織に潜入する。 もちろんこれには理由があるのだが、愛した女性や、強烈な効果をもたらすドラッグ。そして腐敗した警察組織。 清廉潔白の善人などほとんど出てこない世界。 味方も敵も汚職に塗れたような人物ばかり。 登場人物表にもヒントがあるとは意外だし、行きつく先はどこにあるのか。 全3部作なのでエイダンの刑事物語を順番に読んでいきたい。
2022/01/23
くたくた
タイトルで損してないか?と思ったこの本。エイダンは全然堕落していなかった。いい奴だった。ただ、哀れなのだ。損に生まれついた者は一生損する見本のような。その必死さ一生懸命さが割に合わない仕打ち、善悪や人それぞれの思惑が入り乱れ境界を失い、暴力的な混沌となり街を覆う濃密な展開で、途中からはもう、エイダンをただただ追いかけて行くのみになる。他人を信用できない性の彼ではあるが、感情も愛情も虐げられたときに感じる痛みも、共感もある。生き別れた妹への思いが、弱い女性達への思いと重なる。切ない。一気読みです。良かった。
2022/01/17
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