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空腹の技法 (新潮文庫 オ 9-8)

空腹の技法 (新潮文庫 オ 9-8)

空腹の技法 (新潮文庫 オ 9-8)

作家
ポール・オースター
Paul Auster
柴田元幸
畔柳和代
出版社
新潮社
発売日
2004-07-01
ISBN
9784102451083
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空腹の技法 (新潮文庫 オ 9-8) / 感想・レビュー

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シッダ@涅槃

【読了】ずっとタイトルに惹かれていて、やっと読んだという感じ。オースターについてはほとんどなにも知らないのだが(1冊投げ出しちゃった本があるくらい)、この本はオースターブレイク前のエッセイ集で、言わばインタビュー付きのファンブックである。しかし中身は知的で硬質。クヌット・ハムスン、エドモンド・ジャベス、ウルフソン、サー・ウォーターローリー、ホーソーンその他何度も読みたくなる評論多し。この本によってオースターという作家の土台となっている部分はかなり見えた印象があるので、次は実際の建造物たる作品も読もう。

2018/01/26

踊る猫

オースターは実に誠実に、かつ知的に対象と対峙する。その姿勢は決して器用なものではない。読んでいるとオースターは自分自身の問題系に作家たちを惹きつけて読んでいるのではないかという問いが拭い去れない。どの作家を論じてもアイデンティティ(とりわけユダヤ性)や言語の可能性/不可能性といった問題に行き着くのではないか、ならばオースターにとっては(少なくともかつては)こうした読解・批評の作業は自分の問題を問い詰めるための方便であったのではないか、とも。ひと口で言えば若書きということになろうか。その若さをぼくは敬愛する

2024/09/07

踊る猫

ポール・オースターは不思議な作家だと思う。計算ずくで全てを書いているかのようで、意外とミューズが降りてきたり偶然に身を任せたりする受け身なところもある。この評論集はそんな彼の本質を知る上で捨て難い。実存主義華やかなりし頃のフランスを意識してか死をめぐるエッセイが多いことに興味を惹かれる。その一方でフランスの詩人を注視しジャベスやベケットといったマイナーながら巨人として君臨する作家をアメリカに紹介せんと奮闘してもいるのだった。今はリベラルな作家ではあるが、貧乏暮らしの最中に書かれたこれらの文章は強度が強靭だ

2020/08/08

長谷川透

第一、二部は文学を含む芸術を通した〈語りえぬもの〉へのオースター流の果敢なる接近である。〈語りえぬもの〉を語ろうと試みた作品、作家を語ることは、書く者と書かれる者を後に書くことになるオースターの文学的な原点とも言える。オースターの小説家デビュー前の70年代に書かれた散文がほとんどだが、現在のオースター文学との隔たりを全くと言っていいほど感じなかった。第三部は、小説家オースターの『偶然の音楽』までのインタビューが納めてある。他二部ほどの難解さはないので、オースターファンにはここだけでも読む価値があると思う。

2013/04/03

春ドーナツ

Ⅰエッセイ集:詩集(とその他。以下同)の評論だった。Ⅱ序文集:詩集に寄せたものである。Ⅲインタビュー:・・・保留。詩について語るときに我々の語ること。私はテーブルの端で、膝の上に軽く握ったこぶしを置いて耳をすます。しばらくすると、Aの散文自体が「ひとつの詩」なのではないかと思う。詩を語るには、詩で応えねばならないのだろう。未知の世界なので恐る恐る読み進む。次第に頭の中で言葉の断片が折り重なって、バベルの塔を作る。それは作るたびに壊されるものだ。終わりなき反復はある種のリズムを私にもたらす。言葉。非ー言葉。

2018/10/20

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