ナショナル・ストーリー・プロジェクト Ⅰ (新潮文庫)
ナショナル・ストーリー・プロジェクト Ⅰ (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
オースターの妻、シリの発案で始まったラジオ番組―全米のリスナーから寄せられた「私の物語」を編集したもの。地域的にも、年代的(子供はいないが)にも幅広い層を網羅する179の物語。彼らはけっして声高に語らない。実に抑制されたスタイルで彼ら自身にかつて一度だけ起こった、とっておきの物語を語る。中には、それこそO・ヘンリーの短篇小説を思わせるようなものもある。例えば「金の贈り物」。小説としての(小説ではないのだが)完成度の高さでは「1949年、クリスマスの朝」が群を抜くだろう。これ1作だけでも読んだ甲斐がある。
2015/05/08
hiro
『洋子さんの本棚』を読み、そこに登場していたこの本を読みたくなった。アメリカのラジオ番組で募集し、ポール・オースターが編集したもの。普通の人達が書いた実話なので、この本に登場する家族、動物、物、国土の広さ、移民、人種、戦争、宗教、行事など、さまざまな話を通して、実際のアメリカという国を知ることができた。また、常識では起こりえないような奇跡としか呼べないことが実際に起こっていることに驚き、叙述トリックにはまって最後のオチに思わず笑ってしまったり、悲しい話もあったが、良い本が読めた。もちろんⅡも読みます。
2015/03/28
ケンイチミズバ
父親が事業に失敗し、クリスマスプレゼントをあきらめていた家族。イブの朝、プレゼントの箱がいっぱい!一番下の弟がこっそり隠した兄弟たちのおもちゃや道具が中身だった。家族が笑い転げるさまが微笑ましい。これがOヘンリー的な優しさなのか。最近CMでまさに目にして再読。家族の幸せにアメリカも日本もないなあとあらためて感じ入ります。冒頭のラスカル!だめだ、あっち行け。がとても笑えます。白装束で身を隠しても店の看板犬、愛犬がまとわりつく。男はKKKから決別するが、一生涯からかわれ続けることに。
2017/07/18
ゆのん
ラジオでリスナーからの葉書(今はTwitterなど)を読むというのは昔からあるスタイルだが、この本はリスナーから物語を募集したものを纏めたもの。物語は短く、実話でなければならない。選び、朗読するのはあのポール・オースター。様々な土地の様々な職業の人々の物語がギッシリと詰まっている。短い物語ばかりだが、ゾクゾクと鳥肌の立つような物語が沢山。94
2020/04/14
Lara
ラジオ番組の聴者から寄せられた物語のなかから、選ばれた179の物語。それぞれは、小説とは違った、実に不思議な話が多かった。なかには、文化の違いからか、私には、オチの分からない話もあった。
2020/06/07
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