オラクル・ナイト (新潮文庫)
オラクル・ナイト (新潮文庫) / 感想・レビュー
mocha
大病から生還した作家が青いノートに綴り始めた物語は、実生活と奇妙な符号を見せ始め…。物語の中に物語があって、さらにその中にも、という入れ子になった緻密なストーリーに、酩酊したような浮遊感を覚える。それは主人公の混乱そのもの。彼は、シンクロニシティーを越えて出来事を言葉が招いている、あるいは知らず予言しているような不安に苛まれていく。誰しもが、日々頭の中に浮かんでは消える「推測」という名の物語を紡いでいる。それを書き記さずにいられない作家という職業の因果を思う。
2017/03/09
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
極上の特上うな重をいただいた気分です。 うな重の蓋を開けると肉厚で備長炭でじっくり焼かれた大ぶりの鰻ちゃんが まるごと1匹でーんと鎮座ましましておりました。 ほんわり香ばしく熱々ふっくら。ひゃあ~!世は満足じゃ! 、と食べ進むとタレの染み込んだご飯の中程からまた鰻ちゃんが現れて。 なんと2段重ねかいな。憎いね。ごちそうさまでした。 評価は☆8.0(5点満点なのですが)
2021/07/05
キク
作中に小説家が2人出てきて「物語内の物語内の物語」や「物語内の物語内の小説家が書いた別の物語」や「物語内の小説家の未発表の物語が物語にフィードバック」とかが複雑に絡み合っている。かなり入り組んでいるけど、オースターなのでちゃんと読ませる。オースターを読むたびに「ホントに魔術師なんじゃないか?」と感心してしまう。訳者あとがきで柴田元幸が「物語内物語とは、他者と接する全ての人のなかで起こっていることではないか」と書いている。確かに僕たちは、世界という物語のなかで、自分の物語を生きている。深くて面白い小説です。
2022/03/06
キムチ
最近、バッハの弦楽四重奏に凝っていて・・どなたかが書いてている通り、まさにこの物語は想いが言語化され、物語の中の劇中劇が幾つものパターンで展開される その様が四重奏。普通なら話が拡散していくだろうはずが作者の手になると見事に収斂され、最後にオアが辿りついた境地はささやかな灯にも似た安住のくつろぎのような。青いノート(モアの友人の編集者を主人公とした物語)の中身、も他の映画の脚本もトラウズの脚本も何か危うい背景の元に拠っている・・が高まる緊張の果てがオラクル⇒神託・・訳者柴田さんの洗練された言葉に唸る
2017/04/18
サンタマリア
お得意の小説内小説。いや小説内小説内小説。読み進めれば多くの物語が登場し、当然その作者も登場する。そんな繋がりの中でポール・オースター本人への思いも募っていった。読み切るのにかなりの集中力を要した上に中盤までは面白くなかったけど、そんなこと吹き飛ばすくらい後半が面白かった。
2022/08/21
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