スクイズ・プレー (新潮文庫)
スクイズ・プレー (新潮文庫) / 感想・レビュー
遥かなる想い
2023年このミス海外第9位。 脅迫された元大リーガーチャップマンの 依頼により 奔走する私立探偵マックスの 物語である。オースター幻のデビュー作らしいが、ハードボイルド的作品が心地良い。 チャップマンの妻ジュディスの佇まいも 昔風で 色香を醸し出す。 ありふれた展開だが、正統派ハードボイルドの 雰囲気満載のミステリーだった。
2023/01/12
seacalf
オースターファンとしては放っておくことができない。デビュー前のミステリ、それも畳みかけるようなワイズクラックの応酬。彼が王道な探偵小説を書いていて、その翻訳が読めるなんて望外の喜び。要所要所にオースター節が効いていてニヤリ。ファン以外が読むと物足りやしないかと思ったが物語の完成度も高く心配は杞憂だった。322頁から始まるメジャーリーグの記述の素晴らしいこと。読んでいるとカチリとゾーンに入りこむよう感覚を味わえるのはオースターならでは。元妻への態度は相容れないものはあったが、ファンとしては満足の出来だった。
2022/09/22
ルピナスさん
ポール・オースターも知らずに今度参加する読書会の課題本として読んだ本書。ハードボイルド小説というジャンルも初めてではないかと言う初心者で読書会参加自体、腰が引けてしまいますが、1冊目の出会いから本当に感動。プロットもさることながら、へらず口・軽口や命ギリギリの駆け引きを魅力たっぷり引き出した翻訳者の田口俊樹さん、素晴らしいです。孤高な探偵業への自分なりに納得した誇り、家族への愛情の表現の仕方、人間ってと度々考えさせられる切なさ等、人情味溢れる温かい展開に納得。ニューヨーク三部作、今更ながら読んでみたい。
2022/12/10
藤月はな(灯れ松明の火)
ポール・オースター氏の処女作でもあり、別名義で書いた幻のハードボイルド作品が遂に刊行!元メジャーリーガーの依頼人から脅迫状が出された意味を探す私立探偵、マックス。しかし、過去を調べる内に依頼人が殺され・・・。ファムファタル、危険な状況下のアイロニックで洒脱な会話、互いの性格は馬が合わないと理解しつつも信念や姿勢には信頼を置く男達など、ハードボイルド描写が充実している。一方でほろ苦い家族小説としての一面も兼ね備えている、一粒で二度、美味しい構造だ。特に煙草を男女構いなく、スパスパ、吸う場面が本当に懐かしい。
2022/10/17
stobe1904
【ポール・オースターのハードボイルド作品】米国文壇を代表する作家ポール・オースターのデビュー作。純文学作品としては『幽霊たち』をかなり前に読んだことはあったが、この作品は、作風がまったく異なる正統派ハードボイルド作品だった。ロースクール出身の元地方検事補の私立探偵マックスの造形が素晴らしく、自身の規律を重んじ、痛い目にあっても軽口をたたくタフな探偵像は懐かしい。今どき王道を行く優れた私立探偵作品が読めるうれしさに浸りながら読了した。★★★★☆
2022/10/22
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