烈風のレクイエム
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烈風のレクイエム / 感想・レビュー
ゆみねこ
函館で潜水夫として生きる泊敬介の、過酷な人生一代記。昭和9年の函館大火、終戦間近の空襲、そして洞爺丸事件と三たびの惨禍に遭遇しつつも屈せずに生き抜く海の男の物語でした。面白くて一気読み、お勧めです。
2015/03/26
藤枝梅安
かつて私は熊谷さんの小説の感想に<「痛み」を文章で感じさせることのできる作家>と書いたことがある。痛みや窒息寸前の苦しさを感じさせれた。「光降る丘」で栗駒山を襲った地震を採り上げた。続くこの小説は、昭和初期に函館を襲った大火災・空襲・連絡船沈没という3つの悲劇を生き抜いた潜水夫の壮絶な半生を描きながら、苦難の中で希望を失わない人々の強い意志と希望を謳いあげた力作。函館、東北内陸のそれぞれの教訓は東日本大震災後の復興にに生かされているのだろうか。東日本大震災はまだ小説の題材となり得ないことを認識させられる。
2013/07/27
B-Beat
◎巻末に2011年9月号から2012年12月号にかけて雑誌に連載「海峡の絆」を改題とある。東北地方が舞台の作品を多く手掛けてきた作者が明らかに大震災とその後の復興しつつある姿を間近に見つめながら書いた力作だろうと思いながら読み始めたが、まさしくその通りだった。この作品で描かれる昭和初期から戦後にかけての大火災や大空襲そして海難事故に遭遇する主人公の運命や生き様を通じて作者は災害との遭遇を避けることの出来ない現代人へ心構え・境地といったものを教えてくれているかのような、そんな読後感。
2013/08/02
冴子
久しぶりの熊谷作品。函館という魅力的な観光地が過去にこんな大災害を経験していたなんて、知りませんでした。敬介が家族のために懸命に生きていこうとするところが感動的でした。不思議な縁でより一層強く深く繋がった家族愛に胸がいっぱいになりました。災害シーンのリアルさに胸が潰れる思いでしたが、筆力の高い熊谷さんならではの素晴らしい作品でした。
2016/07/10
ちゃんみー
熊谷さんの過去の作品を要所要所で感じる作品でした。昭和初期、潜水夫を生業としている主人公が、函館大火後に奇跡の連続で生き抜いていくお話。次々と悲しい事が起こるたびに、次はどうなってしまうのか?!とハラハラしながら読みました。でも、ここまでの奇跡や偶然の連続ってのもあり得ないと思うと少し興ざめ。函館大火が3.11を思い起こさせる。きっと意識して書かれたのだと思う。
2013/07/27
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