善人長屋
善人長屋 / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
なかなかの人情劇場を堪能させていただきました。ひとクセもふたクセもあるワケありなモノが集い、暮らす「善人長屋」に一人の男が流れ着き、事態は思わぬ方向へ。「善人長屋」とは名ばかりで、実はみんながワケあり裏稼業のメンバーですが、その中に全くピュアな善人の塊のような「加助」が入ることで、他のメンバーとのやりとりも面白さが増していきます。裏稼業でありながら、皆それぞれに義理人情は捨ててはおらず、思いは複雑ながらもひと肌脱いで、何かしらチカラになろうと協力してくれます。根っからの悪党じゃないのがとても良かったです。
2022/04/24
とし
千七長屋別名善人長屋、長屋に住む人たちは、脛に傷持つ皆裏稼業の住人、ちょっとした行き違いから、まさな善人加助が住むことになり、加助が持ち込む人助け(騒動)を、もともとは優しい心根と人情を持つ長屋の住人がなんだかんだと言いながら裏で力を貸す人々をコミカルに描かれている、ちょっと最後はハッピーに終われずでホロリ。
2015/01/16
文庫フリーク@灯れ松明の火
【暗黒街の顔役に殺しを頼む依頼人を〔起り〕という。依頼を受けた顔役が殺し屋を選び、仕事として依頼する‐この第二の依頼人を〔蔓〕と呼ぶ。この場合、〔蔓〕から見た殺し屋を〔仕掛人〕と呼ぶ】巻頭の表題作読んだ時点では、落語っぽい人情ものと感じたのですが、徐々に池波正太郎さん風味が増してくる。人助けの厄介ごとを持ち込む加助が〔起り〕長屋差配の質屋・千鳥屋儀右衛門が〔蔓〕それぞれ裏稼業を持つ長屋の面々が〔仕掛人〕但し、持ち込まれるのは殺しでは無く、人助けの厄介ごと。分相応を知っている悪党どもの仕掛けは→続く
2012/11/10
ちはや@灯れ松明の火
世に生きる者には誰しも表と裏があり、殊更人様に知られちゃならねぇ素顔もある。故買、掏摸、美人局、騙り、情報屋、盗人、文書偽造、通称善人長屋に集うはいずれもケチな裏稼業持ちばかり。被った偽善の皮は世を欺く昼の顔、の筈だった。生き仏の如き新参者が住みつくまでは。情にもろい男が次々呼び寄せる厄介事は、裏の顔と手管と連携技を存分に生かせる人助けばかり。小悪党が弱きを助け強き巨悪をくじいては不本意にも積み重なる善行と高まる評判。けれど裏には更に裏があり、小悪党の素顔の下には底抜けのお人好し連中の心優しき笑顔が覗く。
2010/12/09
ドナルド@灯れ松明の火
西條奈加初読み。設定が面白い。小悪人が集い住む、通称善人長屋にちょっとした手違いで本物の善人可助が住み着いたことから色々な事件が舞い込んでくる。途中可助が善人過ぎてイラっとするが・・・。最後まで、「人間は悪行と善行を行う」が貫かれていて可助が少し可哀そうにはなる。
2011/10/03
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