上野池之端 鱗や繁盛記
上野池之端 鱗や繁盛記 / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
旨い料理茶屋として盛況を誇った「鱗や」今は見る影も無く廃れた連れ込み宿に。料理番付に載る店と紹介され、雪深い信州から奉公に来たお末14歳。熱い蛤鍋をお客さんに味わって頂こうと、盆から落ちかけた鍋を肌の焼ける痛みに耐えて抑える心根。その火傷を手当てする若旦那と、お客が本当に料理を楽しめる先々の「鱗や」を夢中で話し合う二人。勝手なお末のイメージは『みおつくし料理帖』ふきちゃん。(西條さん、ごめんなさい)若旦那の手腕で次第に店も、奉公人の心も、一流の階段を昇り始めるが、「菩薩」と呼ばれる若旦那の内に潜む蛇を→
2015/01/01
紫 綺
連れ込み茶屋に身をやつし退廃的な料理屋「鱗や」に、14才のお末が奉公に来てから繁盛していく時代小説。江戸の暮らしミステリという支流から、壮大な復讐劇という大河へのうねりに引き込まれる。料理や接客マナーなど小ネタも面白く、読後感も最高!
2014/06/03
あすなろ
従姉は男とできて、店の金をちょろまかして逃げた。その身代わりとして、連れ込み紛いの料理茶屋に奉公に出された。そんなお末の物語。店は正統派に転じて行き、お末も中居として頭角現す。そこにミステリー要素混ざる。本作も、西條氏に嵌った奥様の御相伴で読了。正直、どうってことなき軽い時代小説だが、それがまた味噌汁のようなもので良いものである。そして、女将となったお末迄見れて一安心かな?
2016/04/27
nico🐬波待ち中
江戸の料理茶屋「鱗や」を舞台にした、ちょっとトロいけれど何事も丁寧に取り組む少女・お末の奮闘記。「鱗や」の主人も使用人達もみなヤル気のない怠け者揃い。これではいけない、と婿養子の若旦那は店の改革を始め使用人達を仕込んでいく。四季折々の料理「桜めし」「鰻茶碗」「蛤鍋」等が美味しそう!やはり料理は板前の腕も大切だけれど、料理人としての誇りと意地がないとだめなんだ、とつくづく思う。隠されていた永年の因縁も解かれ残ったのは「鱗や」の使用人達の心意気!みんなの店への愛着と情熱が「店」を造り上げていくのだと思った。
2017/05/26
はる
面白かったです。落ちぶれた料理茶屋に奉公することになった少女と聡明な若旦那が店を再建していく人情物語。・・と思ったら意外とミステリー要素が濃くて、後半は結構ドキドキ。泣かせるラストも凄くいいです。読みやすいので普段時代物を読まない人にもお勧めです。
2014/10/25
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