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龍神の雨

龍神の雨

龍神の雨

作家
道尾秀介
出版社
新潮社
発売日
2009-05-01
ISBN
9784103003335
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龍神の雨 / 感想・レビュー

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kariya

雨さえ降り続けなければ。限界を越えて溢れ出す憎悪と悪心、そして殺意。それぞれ血の繋がらない親と暮らす兄と弟、兄と妹はいつしかその濁流に飲み込まれていく。分かたれていた二つの流れが、やがて合わさり自分達も止められぬ力を持ち辿り着いた先には。変わらず読み手の目を暗ませつつ、灰色の空の下で展開される物語は陰鬱で哀しい。けれど雨風を生む龍に背を押されたとしても、悪しき行いを為すのが人であったように。嵐が去った後に荒れ果てた地を捨て置くのも、再び生くる場として時をかけて癒すのも、それもまた人次第なのだ。

2009/09/18

がらは℃

全編通して雨が降り続く。その情景と同じように、重苦しく暑苦しく蒸し苦しい物語が描かれる。家族を信じられないならば、龍になるしかない。。。けれども、それは、、、。

2010/09/14

れいぽ

荒れ狂う暴風雨が観念的にせまってくるような息苦しさを感じた。家族を信じられるか?という問いかけは他人を信じられるか?ということにも等しい。兄は妹を思い、妹は兄をかばう。真実の裂け目は父親を飲み込み、暗い穴に「家族」を封じ込める。善良だと思っていた人物が真犯人として本性を現すドンデン返しは職人技の域だが、それまでの善良な描写が狂気を補完するものに転じてゾゾっとするのも道尾作品の特徴。兄弟の方はラストで光が差す。兄妹にも、いつか優しい雨が降ることを祈る。

2011/03/25

えむ

2613。蓮と楓の兄妹、辰也と圭介の兄弟の思い違い。それは殺意、不信に。P299「行動の結果は思わぬかたちとなって牙を剥き、人の運命を一瞬でコントロールしようとする。ときには人生の足場を跡形もなく消し去ってしまう。それでも最初の選択は人間の胸に押しつけれる。」道尾秀介二作目ですが、作風が好みです。

2013/05/25

nyanco

道尾作品なので、ミスリードがあると解って読んでいるのに、まんまとやられる。今回のテーマは、家族。ミステリー色は薄めですが、私は『片眼の猿』や『ラットマン』よりも好きな作品です。

2009/05/30

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