ノエル: A Story of Stories
ノエル: A Story of Stories / 感想・レビュー
そのぼん
童話の持つ優しさと残酷さを併せ持ったような作品でした。以前に読んだことのある部分もありましたが、全体の流れを読めたので良かったかなと思いました。ものすごくインパクトのある作品ではないですが、空気感がいいと思いました。
2012/10/09
文庫フリーク@灯れ松明の火
『Story Seller』で読んだ「光の箱」が初の道尾作品でした。読メを始めて間もない頃でもあり、懐かしい思いと、あの「光の箱」からこんな作品集が誕生したのだなぁ、と少し感慨に浸ってしまいました。以降読んだ作品の、児童への性的虐待や歪んだ子供の描写のためか『ノエル』というタイトルと、明るい表紙に反して、個人的には一抹の不安を抱きながらの落ち着かない読書となってしまいました(汗)「暗がりの子供」階段の一番上にセッケンを塗ろうと提案する架空の友達‐真子に、宮部みゆきさん『ソロモンの偽証』の野田健一→続く
2013/01/10
財布にジャック
最近とみに文章に磨きがかかっている道尾さんの本なので、安心して読めました。クリスマス時期のこの時に読むに相応しいかどうかは別として、道尾さんの童話と小説が同時に読めるというだけでもファン的にはクリスマスプレゼント状態です。更に、暗く辛い面と希望が持てる面とを併せ持った短編が見事に一つ繋がっていくので長編のような満足感が得られました。童話好きな友人達に早速オススメしなくちゃとはりきっています。
2012/12/11
みっちゃん
とても綺麗だけど、ちょっと不思議な表紙。中には童話で結びつけられた、美しい3つの物語が収まっていました。心の中のどうしようもない寂しさを抱えた主人公達が、もっと悲しい思いをする結末になったらどうしよう…ですから、作者の仕掛けた罠に一々嵌って、オロオロしながら読む羽目になりました。巡り巡った3つの物語を読み終えて、もう1回プロローグの童話に戻ると、胸の中がぽかぽかしていました。辛い結末のミステリーも暖かい物語も、道尾さんの作品にはいつも家族の在り方に対する問いかけがあるように思います。
2013/01/15
sk4
【引きこもりの宇宙】 自分のセカイが脅かされた時、自分にとって都合の良いフィクションで外界との境界と自分自身の間を埋め尽くし、自分のセカイはまだこんなに広いと錯覚する事、つまり空想に溺れるとか趣味に没頭するとか、そうやって自分を守る。誰にでもある事です。 でもそうして守ってる間に外からの脅威をやり過ごせればいいのだけれど・・・ 北野勇作氏の『クラゲの海に浮かぶ舟』で主人公はさらに引きこもる事を選びますが、『ノエル』ではそのフィクション自体が思いがけず外とつながる。上を向いて背伸びする。そうしたくなる。
2013/07/25
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