カンガルー・ノート
カンガルー・ノート / 感想・レビュー
キジネコ
荒唐無稽を程という基準で考えて見た場合、この話は程々の域をハルカに超えて理解という間尺にあいません。何せカイワレ大根が脚に寄生した男が主人公ですから。ドナルド・キーンさんが初読で大笑い、再読で考え込み、時間をおいて挑戦すれば理解できるかも・・と、新潮に書かれたとか。分かったと云えませんが凄く面白く読めました。爆笑。安部公房の物語の時代は、ぼくらが知る「少し前」の同時代、読むと作中に漂う澱の様な古さが煩く視界を邪魔します。それが落ち着いた味わいに変化した時、新しい時代に どう読まれるのか?とても楽しみです。
2015/03/21
橘
初めて安部公房の作品を読みました。難しいのかな、と構えて読み始めたのですが、意外とするすると読めました。脛にカイワレ大根が生えた主人公が、自走式ベッドに乗って巡る世界…ほとんど理解はできない不条理な世界でしたが、わからなくとも面白かったです。突然断ち切られる終わり。ユニークでシュール。惹きこまれました。他の作品も読んでみたいです。
2016/03/13
爽
初安倍公房。題名に惹かれて読んでみたが、結局最後まで題名の意味はわからなかった。かいわれ大根もどうなったのかわからなかったし、最後まで謎は謎のままにしておくのが作風なのかな。1冊しか読んでいないからわからないけれど。いつの間にか世界が変わっていたみたいだけど、それにも気づかなかった。結局よくわからないことばかりだったけれど、なぜか面白いと思えてしまう不思議さ。こういうよくわからない話、嫌いじゃない。
2017/08/27
風に吹かれて
1991(平成3)年刊。 読後、所有している単行本の帯を見ると「冥府と臨海にこだまする、暗莫の私小説。」とある。私小説だったのか、と思う。文庫には誰かの解説があるのだろうが…。93年公房逝去。 夢を語っているのだと思っていると、もはや夢ではなく、いやいや、生は夢でしかなく、こちらの世界とあちらの世界の境目を彷徨っている「私」を語った小説なのだろう。脛に≪かいわれ大根≫が自生し、様々な人物が様々に出てくるが、深く考えない方がいい。今、こうしている自分だって夢を見ていないと言い切れないのだから…。
2020/11/11
ばたこ
突拍子もないあらすじに惹かれて読んでみたら、本文はあらすじ以上に突拍子がなく、ジェットコースターの様にぐんぐん不思議な世界に引き込んできました。死の間際の走馬灯ってこんな感じなのかもしれない。最後の方の歌の一節の「だれも人生のはじまりを憶えていない だれも人生の終わりに 気付くことは出来ない」という文がとても印象に残りました。
2023/06/16
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