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(霊媒の話より)題未定: 安部公房初期短編集

(霊媒の話より)題未定: 安部公房初期短編集

(霊媒の話より)題未定: 安部公房初期短編集

作家
安部公房
出版社
新潮社
発売日
2013-01-22
ISBN
9784103008118
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(霊媒の話より)題未定: 安部公房初期短編集 / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

20歳になる前の安部公房の作品も収録された短編集。たった、5年前にこの貴重な作品集が刊行されただなんて今でも信じられない!未完の作品もあるけど、後の安部公房作品の原点が伺えます。「題未定」の人間の見たいものしか信じない危うさとそれに対する誠実さ、計り知ることができない悪意の声に対する良心の呵責の描き方は卓越しているとしか言えない。そして「虚妄」の繋がりたくても誠実・対等であることはできない人間関係の作り方は、今の悩みと重なることがあって矢鱈、悲しかった。「第一の手紙」は『他者の顔』のプロトタイプなのかしら

2018/04/05

風眠

面白いとか、面白くないとか、そういう事じゃない。安部公房という、ひとりの作家の原点を知る上での貴重な資料なのだ。デビュー以前のもの、未完成のもの、2012年に新たに発見された短編など、作家として名を成す前の思考の萌芽を知ることができた。やはり評価される人間というのは、若い頃からもうすでに「出来上がっている」のだと思った。解説で加藤弘一氏が、安部公房は「前衛文学」としてではなく「古典」として読まれる段階に入っていると述べていた。確かにそうだと私も思う。前衛だったものが前衛ではなくなる。時の流れが少し寂しい。

2017/08/23

Vakira

コボさんの未読の本まだあった。これはまだ読んだ事がなかった。読めて嬉しい。んん?なにこれ?僕の知っているコボさんらしくない。そのはず、コボさん執筆当時十代。その力量凄すぎる。昔の貸本屋マンガに出てきそうな少年ヒューマンドラマもあれば、超純文学であったり。そうなんです。勝手に僕の感性表現ですが、純文学の上に「超」が付きます。純文学の定義を芸術性に重きを置いている小説とすれば、芸術を更に超えてブっ飛んでます。文書表現は詩的&哲学的で気を抜くと置いて行かれます。巷で言われる「読めば飛ぶぞ!」ってこのことか。

2022/03/29

kishikan

高校生の時に少し背伸びしながら読んでいた安部公房氏。哲学的というか前衛的そして独特のスリリングな文章が、悶々としていた高校生の僕の心に突き刺さってきた(ような)記憶が残っています。さてこの「題未定」。彼の文壇デビュー前後の短編、それも2012年に発見された「天使」や19歳の時の処女作「(霊媒の話より)題未定」など11篇を収めた意義深い本です。1948年頃の作品が多いようですが、すでにこの頃から優れた才能の片鱗をみれます。多少馴染みにくく、難解な文体ですが、その後の「壁」などに続いていくことが分かりますよ。

2013/05/29

ジョンノレン

久方振りの安部公房。「題未定」は寓話的で吸い込まれる様にほぼ一気読み。「天使」は始め刑務官と思いきやどうも違う展開でああ勘違い。「〜手紙」はまさかの寸止めにガックリ。「白い蛾」は、らしからぬ、ひたすらの優しさ。「悪魔ドゥベモオ」は存在や創造の懊悩に家族関係まで絡むごった煮に巻き込まれ、こっちもトコトン疲れた。「虚妄」は"男と女の間には♪"。「鴉沼」は冒頭のエリアの描写に息を呑み、独特の愛?の物語が。「キンドルとねこ」は妙な所でお会いしましたね。こんな感想、だから凡俗な輩には読ませたくない"と言われそう。

2022/07/15

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