七〇歳年下の君たちへ: こころが挫けそうになった日に
七〇歳年下の君たちへ: こころが挫けそうになった日に / 感想・レビュー
buchipanda3
著者が70歳も下の高校生に向けて話した講演録。副題は少し仰々しいけれど、堅苦しくなく楽しく読めた。主に体験談を交えながら著者のものの見方、考え方が語られる。分かり易く納得感のある語りは流石。2年目の講演が特に印象深い。人の悪い面を目の当たりにし、自身もその人間の一人であることで思い悩むことは誰しもある。著者はそれでも人間を信頼すると述べる。ふとした体験から人の愛すべき面を感じることがあるからと。女満別での出来事のオチはズッコケたがまさにそれだった。他にも声に出して語られたものの話や識詩率の話も心に残った。
2018/08/17
aloha0307
年齢差が孫or more 灘高生徒との対話 ユニークな作品です 「86歳も、16歳も同じ人間 大差ない」「私の仕事は文学でなく、文芸。時代の表現者」~さすがです。 「哀愁というには甘すぎる。生きていくうえでなんとも言えない鬱陶しさ、重苦しさ」~他者からの隔絶 を感じたとき に五木先生の示した指針が胸を打つ。ひと に対峙するのはほんとうに難しい。人間不信と自己嫌悪...それがふわっととけ、薄く小さくなるような境地に、己は辿り着くことができるのか(少なくともそれを希求していきたい☺)。
2018/12/09
テイネハイランド
図書館本。70年代から今に至るまで第一線で文筆活動などをされてきた五木さん。私は今まで五木さんの著作にはほとんど縁がなかったのですが、長期間にわたって支持されている人の凄みを本書でようやく知ったような思いです。この本は、彼が灘高校、早稲田大学の学生に向けて講演(Q&Aを含む)を3度行った内容が、そのライブ感を生かして収められていて、彼の話が面白くて思わず一気読みしてしまいました。同じ話題でも、別の人がすれば説教っぽくなったり暗くなったりする話でも、話術の達人がやればこんな風にできるのかという感じです。
2018/11/01
りー
灘高生と、早稲田大学生への講演・質疑応答を纏めた本。面白かった。70歳の歳の差なんて、きっとふっ飛んだろう。“書く”“話す”の関係について語られているところが印象的。「論語」「聖書」「阿含経」「ソクラテスの弁明」「嘆異抄」どれも、弟子が師の語った言葉を書いたもの。本人が書くと飾りをつけたくなる、だから常日頃語っていた言葉の方に真実があるのではないか、と。そして、日本の“識詩率”について。世界各国どこでも歌い継がれ、文字が読めずとも老若男女関係なく熱くなれる詩が生きているのに、戦後日本からは消えつつあると。
2019/06/13
こばやし
50歳年上のおじさんに何も期待せず、読み始めたのだけど、予想に反して、求めてた言葉だった。今では数少なくなった戦争を体験した語り部が、若い目線で語る言葉はとても新鮮で、すっと心に入ってきた。鬱々として、それこそくじけそうになった時にはこの話を思い出してまた前に進み出せそうだ。
2019/05/11
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