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夕子ちゃんの近道

夕子ちゃんの近道

夕子ちゃんの近道

作家
長嶋有
出版社
新潮社
発売日
2006-04-27
ISBN
9784103022510
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夕子ちゃんの近道 / 感想・レビュー

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いつでも母さん

【再読】まったりと柔らかい空気の中に浸っていた私。どこか懐かしかったり、どこか羨ましかったり・・この登場人物皆を足して一人みたいな感じが好き。縛られるのは嫌だけれど、人は一人では生きていないのだ。どこかで係わりを持ちたい自分もいるんだ。そんな貴方を私は嫌いじゃない。連作短編7作。再読にはもってこいな感じだった。

2017/02/04

ito

アンティークショップ・フラココ屋の2階に住みこみのバイト生活をする主人公と周囲の人達の日常生活がつづられている。ストーリーはつまらないが、ゆるくてふわっとした時間の流れが目的のない旅行と重なる。何者かになろうとしたり、上を向いて前向きに進むだけが人生の目的となりがちになるけれど、こういう過ごし方が感受性を強く育み生活を豊かにするのかもしれない。相変わらず長嶋さんのセンスがいたるところで光っている。暗い顔の力士の写真を見て、ドナドナを想い出したところで、噴き出してしまった。主人公の顔も暗かったな。

2013/05/16

なゆ

ゆるりとした本が読みたくなったら、長嶋さんの本に手が出る。古道具屋の「フラココ屋」に居候しつつ雇われている〝僕〟を中心に、何も買わない常連客の瑞枝さん、店長、大家さんとその孫の朝子さん&夕子ちゃん、フランソワーズさんなどなど、周辺の人達との穏やかでフワフワとした交流。そこここにプフッと軽く吹き出す会話が楽しい。それにしても、結局〝僕〟の素性も名前すらもわからないなんてね。〝いつもなにかが我々をゆるく束ねている〟。最後の「パリの全員」での、しれっとパリに集合しつつ別行動という感じのゆるい繋がりが心地いい。

2015/02/25

taiko

古道具店のフラココ屋の2階に住む主人公と、近所の人たちの日常。期待せずに手にした本でしたが、思いの外好みでした。世界観がとても好きでした。実際に身近にいたらどうかなとは思いますが、物語の主人公としては好きなタイプ。彼の名前や、何故そこで暮らしているのか、どこに帰るのかなど、主人公については何もわからないまま。でも、彼のことはとても良くわかった気がしています。周りの人たちもとても魅力的。いい出逢いでした。

2017/04/16

りょう

長嶋有さんの小説は2作目。以前に読んだのもそうだったけれど、ありきたりで怠惰に過ぎてゆく日常やあまりに普通過ぎる人物像を繊細に描いてゆく手法、嫌いではないです。人間同士の繋がりの濃さ、緩さ、温度の加減はそのコミュニティによりけりでしょうが、この物語の登場人物同士のようにぬるま湯的に熱しすぎず冷めすぎず、適切な温度を保ちながらその関係性を維持してゆくというのがやはり一番心地良いのかもしれませんね。気だるい物語だったけれどなんだか面白かったな。

2020/01/02

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