悲しみの歌
悲しみの歌 / 感想・レビュー
ニケ
ー絶対的な正義なんてこの社会にないということさ。ー 『海と毒薬』から20年経て発表した続編と考えられている作品。 『海と毒薬』では、戦時中に不時着したアメリカ人捕虜を九州の病院で医学の発展の為と言う名目の上で、生きたまま生体解剖実験した事件を参考に書かれた作品だった。 あれから20年… そこに登場する勝呂医師のその後が『悲しみの歌』で描かれている。 勝呂医師は、宮沢賢治の雨ニモマケズの主人公のように、ひっそりと目立たず、誉められもせず、苦にもされず、でくのぼうと呼ばれ生きて居たかったのかもしれない。 キー
2014/08/21
かおり
「海と毒薬」の続編。勝呂を中心にした物語。医者でありながら命を救うどころか奪うことしかできない。行き場のないやりきれなさ。時代が違ったら、戦争という異常な状態でなかったら、田舎でのんびり往診などして暮らしていただろうと思うと辛い。神を信じない勝呂とイエスともかぶるフランス人青年。宗教に関しての捉え方も前作同様考えさせられる。
2012/10/18
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