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人生の親戚

人生の親戚

人生の親戚

作家
大江健三郎
出版社
新潮社
発売日
1989-04-01
ISBN
9784103036128
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人生の親戚 / 感想・レビュー

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クリママ

知的障害の弟と事故で障害を負った兄の自殺。作者本人と思われる障害児の父親から見たその母親の生き方。出だしの「愛する女のように」に躓く。○を愛する女なのか、○が愛する女なのか。どっちなんだ。そして、母親であるその女性に好感が持てない。その上、引用文、宗教の話の難解さ。深い悲しみに打ちひしがれながらも、その生い立ち、気質からとってしまう行動。悲しみは癒えてはいない。悲嘆と共に生き、死ぬ。受け入れることの肯定。学生時代むさぼるように読んだ大江作品だが「レインツリーを聴く女」で挫折。数十年ぶりになんとか読了した。

2019/10/22

kana

自殺によって子供を失った母親の生き様を描いた物語。兄は先天的知的障害を持ち、弟は事故によって身体障害を負い、ふたりは一緒に崖から身を投げてしまう。その事件を「アレ」と呼び、夜中はうなされ呻きながらも、母親のまり恵さんは海外で宗教活動をしていく。障がいも事故も、母親のせいではない。でも、「こう産んでしまった」「助けられなかった」…人の力が届かない問題だったとしても、親はそうやって自分を責めてしまうのかもしれない。

2018/03/08

やまねっと

長い時間かけて読んだが全然面白くなかった。 倉木まり恵さんの生きた記念碑的な小説なのだろうが、そこに書かれていることは僕の興味を刺激するものではなかった。 どこかに面白さを見つける努力をしたが、僕にはわからなかった。 まり恵さんが聖母のような行動に対し、性的には崩れた印象を持った。子どもが自殺したことが暗い影を落として強い印象を持ったが、気持ちが動くことはなかった。 たまたま、ウディアレンのメリンダとメリンダを観たのだが、そこに出てくる女性たちと比べてしまった。映画になったらあんな感じになったのだろうか?

2021/11/27

阪口まな

人間にあまねく訪れる人生の苦しみ。親しい人に信じがたい困難が生じた時、周囲の人間は救いや意味を持たせ自分を慰めにかかる。本書は快活で魅力的な女性について筆者の目線を記してある。筆者は心を痛めながら慰めや意味を持たせることから、彼女から距離をおいているように思われる。大団円が好きで「世知辛い」物語は避けてしまうのだが、その距離があったから読み終えられた。こう書くと筆者が冷血漢のように思われるかもしれないが、この「距離」は彼女への敬意とその内面の尊重であり…だめだ。感想を綴れるほどの語彙力がない。

2019/10/18

つつま

初の大江健三郎作品。《悲しみ、哀しみ。不幸のどん底。底の底》何が救いになるか。作者は傍観者である。直接には関わらない。作者は清潔で、謙虚な人だと感じた。その、手つきや温度で、彼女の彷徨を語る。それがとてもフェアな感じで、テーマは重いけど、心地良さ、優しさを感じた。この本全体の佇まいや流れそのものは、静かなのに不思議と物語は閉じていかないで、いつまでも読後も時間が続いている。まりえさんは、とても強烈で深い印象が残った。

2015/07/22

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