花宵道中
花宵道中 / 感想・レビュー
nico🐬波待ち中
江戸吉原の小見世「山田屋」を舞台にした連作短編。「目を瞑って、愛しい人を思って、他の男に抱かれるんだ」毎日を精一杯に生きる遊女達の、情や業の深さと芯の強さに胸を抉られる。見世にとって遊女は単なる「商品」。けれど単なる「商品」では終わらせない彼女達の、粋で凛と気高い生きざまに心が揺さぶられる。そして短編が進むにつれ明らかになる女達の真相に切なすぎて泣けてくる。生きることは困難で、生き抜くことはもっと険しい。それでも吉原で生きていく覚悟を決めた女達の強さに感動した。宮木さんの作品をもっと読んでみたい。
2018/02/28
風眠
吉原の遊郭を舞台にした連作短編集。八津と少しずつ繋がりがある遊女たちの視点で、それぞれの物語が描かれている。R18小説となっているが、官能シーンが中心というわけではなく、むしろ人と人のつながりや、遊女として生きている「女の子」たちの心模様が胸に迫ってくる物語だ。恋してもしょうがないって強がっていても、遊女の心に隠れている「女の子」は切ないまでに恋焦がれる。言葉に、態度に、出せないぶんだけ想いはつのって、焦がれて焦がれて心で泣いてる「女の子」たちがいじらしくて、もらい泣きしてしまった。
2012/09/25
ひめありす@灯れ松明の火
一睡の夢を男に見せながら、女もまた夢を見る。この腕は愛しいあの人の腕、この声は愛しいあの人の声。吐息も熱さも、何もかも。いつか愛しい人が現れて外へ連れ出してくれるのを夢見、郭の中にその人が訪れる日を夢見、禁じられた逢瀬の甘美さを夢見、今日もまた夢を売る。その夢は幼い少女のそれよりも純真で、末期の老婆のそれよりも苛烈。叶う事のない、叶った所で幸福ではない恋だから。だから、せめて夢では幸福に。手に届かぬ幻の花を求める様に、今日もまた宵を微睡み夢を見る。閉じた瞼の裏で、咲くはずのない青い牡丹がふわり宵闇に咲く。
2012/09/29
ann
切なくて。苦しくて。騙して。騙されて。愛して。裏切られ。生きた証にすがりたい。命を懸けてすがりたい。遊女モノが好きなのに、ずっと気になっていたお話。今、このタイミングで読めて良かったのかもしれない。朝霧、霧里、八津の気持ちがあまりにも入り込んで来て。声を出さずに泣いた。私の前世は遊女の髪結いだったのかもしれない。(遊女ではなく)
2016/08/18
Shinji Hyodo
『女による女のためのR-18文学賞』なんてものがあることを知らなかった(^^;;今時の18歳がこの位でモヤモヤっとなるかいな?とか思いながら読み進めたが、想像(妄想)力豊かな私は十分ドギマギしました(^^;;これは宮木さんのデビュー作になるのでしょうか?先日読んだ『校閲ガール』とは大いに異なる物語で、江戸吉原に生きる遊女達の切ない、やるせない恋と死を描いた感動の官能物語。結構なお点前でした(^^;;
2015/02/24
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