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近親殺人: そばにいたから

近親殺人: そばにいたから

近親殺人: そばにいたから

作家
石井光太
出版社
新潮社
発売日
2021-05-18
ISBN
9784103054580
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近親殺人: そばにいたから / 感想・レビュー

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いつでも母さん

そんなことで…と言ってしまえる人は幸せだと思う。日本の殺人事件の半数が家族を主とした親族間で起きているという現実。ここでは7つの事件を取り上げていた。育児に疲れ家庭に疲れ介護に疲れ自分に疲れて…喪った命、どれもが痛ましい。その背景を知ると思いは複雑。もしかしたら、それは私だったかもしれないし、明日の私かもしれない。そして被害者家族は加害者家族にもなるのだ。家族の数だけ問題はあって、一つとして同じ理由は無い。その一線を超える前にとは思うものの…暗澹たる思いで読んだ。

2021/06/25

モルク

親、子ども、夫婦…やむにやまれぬ事情があった。介護、貧困、引きこもり、暴力、それぞれの家庭で葛藤があり、心痛む7件の事件を追う。まわりに、行政に相談すれば…と、思う人もいるだろう。が、実際はそんなにたやすいことではない。なんとか家族で解決しなければ…自分さえ我慢すれば…というギリギリの状態でやっている人も多い。一歩間違えば平穏な家庭でも起こりうること。息子の暴力に脅え、隣に住む娘の子をも殺しかねないと息子を手にかける父の話がきつかった。加害者側に立ってしまう話ばかりではない。身勝手な母親の話には辟易した。

2022/03/03

ゆみきーにゃ

大好きな石井さん。すごく読みやすいのですが重いお話ばかりなので読み進めるのが辛かった。育児に疲れ、介護に疲れ最悪な結末を迎えてしまう。あの時こうしていれば違う結果になったかも。そんなお話しばかりでしたが、他人事として捉えているのかなとも考えてしまう。とにかく重い。

2021/07/05

sayuri

実際に起きた7つの殺人事件を収録した短編集。あまりにもハードな内容に胃がキリキリと痛む様な読み心地だったが、いつ自分の身に降りかかってもおかしくはない内容だった。介護、引きこもり、貧困、精神疾患、虐待とそれぞれ殺人に至るまでの経緯は違えども、自分が死ぬか、相手を殺すかしないと終わらない極限状態が手に取る様に伝わって来る。どう考えても被害者の様に思える加害者から、反省の色が全く見えない許しがたい加害者までと様々だ。たらればを言えばキリがないけれど、どこかの段階でストップが掛かる様な公的支援の充実を待ち望む。

2021/07/15

Ikutan

日本では、殺人事件の認知件数が減少しているにもかかわらず、親族間殺人事件の件数は変わっていない。つまり近年、親族間殺人事件の割合は高まり、5割を超えているという。そして今、新型コロナウイルスの感染拡大によって、この問題はさらに深刻になってきている。丁寧な取材で浮き彫りになった七つの事件。ひとりで抱え込まずもっと周りの手を借りればと思う一方、精神疾患を抱えた被害者の苦しみと振り回され疲弊していく家族の姿は、やるせなく辛い。被害者家族であり加害者家族でもある立場も複雑だ。ずっしりと重い問題を突きつけられた。

2021/10/15

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