君がいないと小説は書けない
君がいないと小説は書けない / 感想・レビュー
starbro
白石 一文は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、著者の自叙伝的私小説でした。面白くなくはないですが、もう小説家としてネタ切れなのでしょうか?引越マニアのパートナーだけは勘弁です。著者が二世作家で、史上初の親子で直木賞を受賞していることを初めて知りました。 https://www.shinchosha.co.jp/book/305656/
2020/02/03
アキ
自伝的小説ということでしたが、還暦前になると亡くなった知り合いの人の思い出が多くなるのでしょうか。昔を回想する話が多かった。その中で高級食パンの匂いから、25年前にもう亡くなられた先輩の自宅で御馳走になったトーストの味が甦ってくる話への考察が鋭い。記憶とは過去ではなく、そこへアクセスする現在のものなのであり、人生を炎のようなものと譬える比喩に共感する。記憶に時系列はなく、むしろ夢が本当なのではないか。父親との関係は父親を亡くしてはじめてわかることばかり。小説の筋より所々で人生を語る文章が好きな作家。
2020/03/22
どんぐり
デビュー当時から読んでいる白石さん28冊目。15歳年下のパートナーと暮らす作家が、還暦を迎えてこれまでの来し方を身辺出来事を入れ込んで私小説風に仕上げた400頁を超える大作。著者の編集者時代の話は、以前も読んだことがあるし、私は「私という体験」であるとか哲学めいた話が出てくるのはいつものことで、許してあげよう。ただ、「君がいないと小説は書けない」という不甲斐ない書名を配しているのはどうしたことか、読者からするとても気持ちが悪いのだ。これが白石さんの作家としての創作の生き詰まりを示していなければよいのだが。
2020/07/08
Yunemo
自伝じゃなく自伝的小説、どこがフィクションなの、という素朴な疑問を持ったままに。あまりにも取り止めが無さ過ぎて、という想いに。大半の作品を身近な感じで受け止めてたのになぁ。随所に白石哲学が散りばめられていて、ただここでいう作品がどの作品かまでは不明のままで。記されてるようにベースが時間と記憶の連関、このために思い悩んだ作品が何点か。人間関係に伴う摩擦係数、等々作品の主題に至る白石哲学が垣間見られて、この点では是としましょう。ただね、ことりさんとの関係については、あまりに自己中心的過ぎじゃない、と問いかけ。
2020/03/08
nanako
白石一文は好きな作家で、著作はほとんど読ませてもらっています。ここ数年作風が変わってきたことは感じていましたが、この作品はどうでしょうか?ほぼ自伝なんでしょうが、小説としてどうなのか?「?」です。個人的には昔の作品のほうが、それも初期の作品のほうが好みです。次の作品を楽しみにしたいと思います。
2020/03/22
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