ドッグマザー
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ドッグマザー / 感想・レビュー
さっとる◎
読了後1日経っても感想がまとまらない。重たい本だった。何が?一人称が。単純で直接的な思いが語られる一人称に馴染みすぎている、私が。これを読むまでに「小説のデーモンたち」を読み、「馬たちよ…」を読み、日出男がここで何をしようとしたかを知っていたのに、難しかったなあ(笑)。静かな叫びは、聞こえてきたけれど。震災を経て、それでも生まれてきた作品。変容せざるをえなかった第三部。この本は芸術の範疇から出ないでよいと、読者に媚びず仕上げられたドッグマザー。日出男の声を聴きに、またこの本を開くことになるだろう。
2017/06/24
磁石
相変わず不思議な物語だ……。へたな官能小説よりも性描写があるのに、卑猥な感じはしない。キワモノな人たちとめぐり合っているのに、イラつきも驚かされもしない。さらには、「コレ絶対犯罪だよヤバイよ」な人たちの中に入っても、違和感なく溶け込めている。ラノベのテンプレ主人公よりも気が薄い、人型の立体レンズみたいだった。だからか、染に染められた果てに見出されたのが、皇族になる……。読んでいるのに読まれている、自分の色を確認できそうな作品。
2017/09/23
くみこ
主人公は、養父の骨壷を背負い、老犬を連れて登場します。無戸籍で就学歴の無い彼の物語は、信仰宗教の女性院主とその子供達と出会ってから複雑さを増し、3・11の震災を経て思わぬ展開が続きます。宗教が絡んでから、あえての難解さかと疑うほど、ページが進まない。実年齢も定かでない主人公の、実母と育てのママとのエピソードや、老犬"博文"との生活まではついて行けたのに。聖家族やら天皇に話が及んで、何が何やら。「ベルカ、吠えないのか?」はわりと好きだったのに。読解力の無さを痛感しました。
2024/01/08
そうたそ
★☆☆☆☆ 自分のオツムでは何がなんやらチンプンカンプン。老犬博文の骨を伴い京都へと続く旅。最初の方はまだついていけた。流れるような文章は「サマーバケーションEP」を思い出させる。この作者の魅力の一つだろう。意味が分からなくなったのは、第三章に入ってから。宗教団体が絡んできたあたりか、全体的にストーリーがやけに観念的なものになり、もう何が何のことやら。個人的に古川日出男は当たりはずれの差が激しい印象だが、これは外れで間違いなし。エロ描写も多いし、この作品はどうか知らないが、新興宗教とエロは密な関係なのか?
2013/06/03
ぐっち
「それでも三月は、また」で、この人の作品がよかったので手に取ってみたのですが、初・古川日出男だったので、この人の、文法?他の話との繋がり?がつかめず戸惑いました。第二部の最後で、そういう話か!と思ったものの、第三部の最後でまた手放してしまった。主人公がイケメンだったので、なんとか読み切ったかんじ。関連作品を読んでからのほうがよかったんですかね~これ。博文と一月輪が心のオアシスでした。
2012/05/12
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