自転しながら公転する
自転しながら公転する / 感想・レビュー
さてさて
会社に、恋愛に、介護にと同時に押し寄せる様々な悩みの中もがき苦しみながらも前を向いて歩んでゆく主人公・与野都。思わず登場人物達に感情移入してしまうリアルな人生の物語。それは、私たち自身も「自転しながら公転する」、そんな毎日を送っているからなのだと思います。私たちは、他の軌道を回る人を見ながらも、そんな他の人の軌道に移ることはできません。私たちは私たちそれぞれの軌道を「自転しながら公転する」しかないからです。そんな私たちそれぞれの自転と公転の人生に幸あれ!そんな風に感じた読み応え十分の素晴らしい作品でした。
2021/02/20
starbro
七年ぶりの新刊、久々山本 文緒の作品を読みました。本書は、アラサー女子のリアル、令和著者版金色夜叉の秀作、読み応えがありました。今年のBEST20候補です。茨城のアウトレットとは、あみプレミアム・アウトレットでしょうか? https://www.premiumoutlets.co.jp/ami/ https://www.shinchosha.co.jp/jiten-kouten/
2020/11/11
bunmei
『本屋大賞』候補作品コンプリート。30代女性を主人公に、派遣の仕事や立場、親の看病、恋愛等、リアルな日常場面を切り取り、その折々の複雑な感情や葛藤を、妙に生々しく描いている。男の自分から見ても、同世代女性の中には共感する人も多いだろうと感じた。また、年頃の娘を持つ父親として、寛一のような男を娘から紹介されたら、やはり、簡単には受け入れ難い。様々な苦悩の中、自分の人生だからこそ『自転しながら公転する』の表題通り、歩み続けるしかないのだろう。それぞれにとっての「幸せとは何か?」を問いかけてくる一冊である。
2021/03/17
ミカママ
語彙や文章のスタイルが、意図せずにこちらの心の襞にグイグイ沁みてくる作家さん、というのが存在する。わたしにとって山本文緒さんはその代表的なひとり。長いこと体調を崩されていて、ファンとしては心配ながらも新作を首を長くしてお待ちしていた。7年ぶりだというこの長編、冒頭はその閉塞感から息の詰まるような思いもしたし、主人公の母親の更年期障害からのうつ病は、おそらくご自身の体験を余すことなく描かれたのだろう。プロローグとエピローグは書き下ろしとのことだが、この加筆部分のスゴさにも舌を巻いた。さすがだぜ。
2020/12/20
nanako
いやぁ、山本文緒作品、久々に読みました。「こんな感じの作品を書く作家さんだったっけ?」というのが最初の印象ですが、こんな感じ、嫌いじゃないです。都は現実的でないような、極めて身近に起こりうるような、様々な出来事…に直面、その度にかなりイライラさせられますが、応援したくなってしまう不思議で魅力的なキャラクターでした。エピローグで明かされる「その後の都」と、頼りない都がなんとなく結びつきませんでしたが、彼女も強くなった、ということでしょうか?^^♪
2021/05/09
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