本居宣長補記
本居宣長補記 / 感想・レビュー
Omelette
「芸術家は、最初の人間が話したように話し、まだだれも絵というものを描いたことがないかのように、絵を描く」(メルロ=ポンティ「セザンヌの疑い」)。法律のことばのように、しっかりと踏み固められた領域もあるけれど、どの言葉も源をたどれば、かならず、あるとき誰かが発した具体的なことばに帰する。そういう「言語の発生する現実の場所」がかつてあったこと、また、隠蔽されてはいるものの、わたしたちのなかでも常にその過程がはたらいていること、を小林=宣長は確信する。そこでは感じることと言葉を掴むことが区別されない。
2011/01/14
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