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ギンイロノウタ

ギンイロノウタ

ギンイロノウタ

作家
村田沙耶香
出版社
新潮社
発売日
2008-10-01
ISBN
9784103100713
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ギンイロノウタ / 感想・レビュー

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absinthe

沙耶香様作品。沙耶香様の描く主人公はいつもどこか機能不全で薄気味悪く暗黒だったりいびつだったり闇を抱えている。でも、なぜか世界が構築した虚構の裏を見る能力を持っていて真実を射抜いてしまう。そしてこれだけ気味わるいのにどこか頼りなげで抱きかかえてみたくなるほど愛おしくも感じてしまう。この世界は怖いが、ラヴクラフトやポーとも違う独特のものだ。よく出来た作品は読んでいる間、世界の見方が変わるものだが、もっとよく出来た作品は読んだ後も世界が変わる。

2019/10/11

風眠

『ひかりのあしおと』と『ギンイロノウタ』どちらの主人公も、周りの環境や大人達によって歪められ、「化け物」となることで自らを追い込んでしまった。きっとどこかに自分の居場所があるはずだと、全力で存在を正当化できる場所を探し続ける。それが間違った方向だったとしても、見つかるまで探し続ける。作者は、決定的な言葉で言い切ることはせずに、環境や家族関係などの生育歴に問題があることを読者に仄めかす。少しずつ狂ってゆく女の子、代理行為、強迫観念、そして誰でもいいから殺したいという殺意への転嫁。壊れゆく過程が痛々しい物語。

2014/01/24

ゆのん

一人称で語られる2つの中編。どちらの話も自分の中に閉じ籠る主人公。違うタイプとはいえ問題のある両親。性的な衝動。村田沙耶香作品は感想を書くのがとても難しい。食い入る様に読んでしまうのに読了後は嫌悪感が湧いてくる。なのに読んでしまう不思議な魅力が何なのか。表題作では食事のシーンが何度か登場するが、物凄く不味そうな描写には軽く『オエッ』となった。57

2020/03/08

里季

村田さん2冊目。気持悪~~えぐ~~と思いながら読み進めた。途中でやめようかとも思ったが、本来なら楽しく過ごせるはずの子供・思春期時代をこんなに自分を責めながら、自信を持てないまま、最後には幻覚幻聴にも似た症状を呈するまでにしたのは誰だ?といつの間にか腹立たしい思いになっていた。両親特に母親の子供に対する不安定さが主な原因と思うがその母親にしても、一種病的なものがあり、弱きものといってもよかろう。よくわからない話だったが、少女の苦しみだけはわかった。後味が悪かったがとにかくこの子がかわいそうだった。

2015/09/12

ゆうゆうpanda

『ギンイロノ~』は読んでいる間ずっと息が苦しいような感じ。指示棒が秘密のノートに、そしてナイフへと変化していく過程が凄かった。コンビニの副店長のように向き合ってくれようとする人がいても狂気は止まらない。指示棒を傷つけるだけで終わったけれど、また内なる狂気は現れると思った。『ひかりの~』は最後に傷つけてしまったけれど、蛍の存在に癒されて救われる可能性がないともいえない。蛍がその気になれば純愛になる可能性を残していると思えた。順番を逆にしてくれると良かったかも。どちらも初めての感覚で作者の尖った才能を感じた。

2016/08/14

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