指揮官たちの特攻: 幸福は花びらのごとく
指揮官たちの特攻: 幸福は花びらのごとく / 感想・レビュー
とくけんちょ
この本を読んで何を思う。紛れもなく、こういう時代、現実があったのだ。平成が終わろうとしている今、想像もできないような話である。目を背けてはいけない、卑下してはいけない、何を思うかは自由だが、ただ忘れてはいけない。
2018/12/24
olivegreen
指揮官というからもっと年上の人達の話かと思ったら、当時は20歳前後でもそういう立場になる時代だった。思いがけず作者自身の体験もおりまぜられたドキュメンタリーに近い作品だけど、当事者の言葉は重く特攻隊員の心情をよく代弁してくれていると思った。感傷に浸りすぎる事もなくまたゆかりの地を訪れるなど、作者とともに特攻についていろいろな面から深く考える事ができる作品だと思う。
2012/07/17
アキ
「特攻」という形でともに23歳の生涯を閉じた、海軍兵学校同期卒の指揮官二人の生き様を追ったノンフィクション作品。途中、17歳で志願入隊した城山氏自身の体験も重ね合わせながら、敗色濃厚な戦争の推移とともに、変節していく軍隊という組織を浮き彫りにする。無責任で身勝手な将校たち、もはや兵器とは到底言えない特殊兵器の数々。通常兵器が温存され、特攻兵器だけがさまざまに開発され、その量産された数に合わせるかのように大量動員される少年兵たち…。あの戦争を知る責任を負うはずの私たちが読むべき本のひとつ、と思えます。
2013/02/21
プチライス
「どうして自分が選ばれたのか、よくわからない」と悲痛なぼやきを残して最初に特攻死した関大尉、「こんな作戦はなっとらん」と言い置いて第一号の桜花出撃した野中少佐、「おれが死んでも戦局は変わらんのだがなあ」と漏らして逝った山下大尉、「ぼくは死に急ぎしません」と言っていた中都留大尉は終戦の日に最後の特攻死を遂げた・・・『永遠の0』の参考文献にあげられている本書。「おれは死ぬ、死ぬんだよ、お母さん、こんなに元気なのに。ごめんね、お母さん」「花びらのような幸福は、花びらより早く散り、枯枝の悲しみだけが永く永く残る」
2010/11/28
あずみ
読み進めやすい内容ではないし、単純に「興味深い」とは言い切れない本。けれど、筆者や遺族の戦争や特攻に対する思いがひしひしと伝わってきました。こういう本が残されていることは、非常に幸せなことだと思います。
2009/09/25
感想・レビューをもっと見る