仮想儀礼 上
仮想儀礼 上 / 感想・レビュー
財布にジャック
暗くて重くて苦しくて辛くて、でも読むのをやめられないのは何故なんでしょう?凄いずっしりとした分厚い本の外観同様中身も濃くて、どーんと心に響きます。読んでるうちに篠田教に入信させられてるのかも知れないとさえ思うほどです。500ページ近いのにページをめくる手が止まりません。下巻でどうなってしまうのか、最後までこの新興宗教の行く末をこの目で見届けたいと思います。
2011/02/12
harass
出版企画が消えてしまったファンタジーゲームブックの兼業ライターの主人公は勢いあまって、都職員を辞めてしまった。彼に仕事を持ちかけた元編集者の二人は、金のための新興宗教を立ち上げることに。ゲームの資料で宗教の知識がある主人公は教義をでっち上げて…… 少しづつ信者数と規模が大きくなっていく彼らの宗教団体と近づいてくる怪しげな人物たちの影が浮かぶところで上巻は終了。かなり分厚い内容で信者たちなども丹念に描写していて、勝手にシニックと予想していたのと異なる内容。調子良すぎかと思われるがあまり気にさせない筆力に感心
2020/08/09
けい
篠田さんの作品は「ミストレス」に続いて2作品目。読友さんおすすめを頂き、本の厚さに少し臆しながら読み始める。都の職員である正彦はゲームのシナリオライターを隠れた副業と営んでいたが、編集者の矢口にそそのかされ安定を捨てて・・・。お決まりの堕ちていく人生から一転、矢口と伴に作家時代の知識をもとに新興宗教を立ち上げる。そこには心を病んだ人々が集い大変なことに。二人がそれぞれ特性を生かして大きくなっていく「聖泉真法会」。大きくなるとまた新たな問題が、どんな結末になるか下巻に期待。面白い。
2013/12/12
オカメルナ
初篠田作品。始まりは当たり前のことを客観的かつ冷静にアドバイスしただけの事だった。そんな事で宗教って始まるものなんだな。鈴木と矢口の二人は、どん底の生活からあくまでもビジネスとしての宗教を興す。でも、そこに救いを求める人は妄信的になってしまう。信心することは決して悪いことではないと思うけれど、自分自身はもちろんのこと周りまで見えなくなるほど傾倒してしまうのは怖い。荻原浩氏の「砂の王国」より登場人部各々の描写が緻密。その分、内容的に重く感じられる。やはり転落へと向かうのか?下巻へ・・・
2012/03/17
kaizen@名古屋de朝活読書会
やられた。9.11を逆手に取って、世の中に進んでいくという道を小説の中で実現してしまう。 篠田節子なら、小説を書くだけでなく、この手の団体を立ち上げられるかもしれない。 役所勤めという経歴といい、 「社会のシステムや精度についての正確な知識を持って折らず、そのために問題が解決できず、相談相手もいない状況に置かれている」「論点がはっきりせず、果てのない愚痴としてしか語られることのない彼女たちの悩みに、家族は本気で耳を傾けてくれない。家庭の中心にいて家族の生活を守っているはずの彼女たちが、その家庭の内で孤独
2013/04/16
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