笑犬楼vs.偽伯爵
笑犬楼vs.偽伯爵 / 感想・レビュー
keroppi
筒井康隆の本は、ほとんど読んでいるので、新刊のこの本も手に取った。筒井康隆と蓮實重彦の対談は、大江健三郎について。まだまだ、自分は読めてないなと反省しつつ、蓮實重彦の「時をかける少女」への大絶賛に目が止まる。往復書簡に至っては、丁寧な語り口でありながら言いたい放題。話は映画や青年時代やお互いの小説についてや、実に面白い。88歳と86歳か。もっともっと吠えて欲しいなぁ。
2023/01/21
R
往復書簡の形をとりつつ、二人の文学の才人が語り合う、交換日記のような書物だった。二人の独特の距離感と、お互いをどう考えていたか、そして共通の人物として大江健三郎が出てきて、古い映画や、文壇のありよう、顕そうとした思想が語りの中で形が見えてくるものだった。話の半分も理解できなかったけども、ある意味楽しそうでもあり、牽制のしあいでもありといったやりとりが興味深く、冗談も交わされるが笑ってよいものかと考えさせられることもある、深い思索と思念のやりとりを読めた。
2023/05/24
ぐうぐう
筒井康隆と蓮實重彦の対談と往復書簡、そしてそれぞれの作品に対する評論が収録された『笑犬楼と偽伯爵』。大江健三郎という共通点を得て意気投合する対談では、大江へのそれぞれの評価も面白いものの、蓮實の筒井評がすこぶる刺激的で痛快だ。『時をかける少女』を大絶賛する蓮實(収録されている書き下ろしの「『時をかける少女』は大胆にしてどこまでも繊細な散文のフィクションである」も収穫の多い批評)だが「(略)冒頭から気がくるったコンパスが主題となっているように、(つづく)
2023/01/13
シッダ@涅槃
なんか昔文芸誌連載などを詰め込んだこういう読んだなあ、という懐かしさと、大豪2人の来歴がわかる書簡付きということでなんとも贅沢な気分二つ我にあり(贅沢、の方は帯の左端に書かれてて予告されていた?!)。◆約2日と僕にしては短時間で読めたのは、大江健三郎の「私は弱ってきたら最後は詩を書くだろう」という発言に対して「お前は散文が凄いんだから散文書き切れ」(大意)とぶち上げたあたりで勢いついたからだろう。裏表紙の煙草燻らすおふた方もよし。
2023/02/07
山田太郎
蓮實重彦って草野進じゃなかったのかな。えらい人がおちゃらけやって正体不明な感じがピンチョンみたいでかっこいいと思ってましたが。やたらえらいというか大物同士でこれをつまんないというと頭悪いのばれそうで下手なこと書けないよなと思った。きちんと理解できているのかは置いといて読みやすいのはすごいよなと思った。
2023/02/12
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