煉獄の使徒 上
煉獄の使徒 上 / 感想・レビュー
さと
ドキュメンタリー番組を観ているようだった。ニュースによりもたらされた記憶は全て過去の事実であったが、人が常軌を逸していく様、心が均衡を失う様子は事実と違わなかったのではないかと思う。暴走する教団の弁護士と彼を利用し金欲を満たそうとする刑事 私利私欲にはしる官僚と政治家 保身と利権に踊る組織のトップ 作者が創りあげた者たちが馴染み過ぎるくらいに馴染むのが恐いくらいだ。慎平の心の葛藤が、何が普通で何が異常なのか 普通とは何か を私に問いかけ単に楽しみながら読むだけでは許されない緊張を与えてくれた。
2018/11/15
うーちゃん
これが馳ノワールか。面白い。馳版「アウトレイジ」だね。全員、悪人。一連のオウム事件をモチーフにしているけれど、エンタメ方向に振り切ったつくり。上下巻で1100項の大作だが、視点の入れ替えや展開がスピーディーで、ページを捲る手を止めさせない。下巻へ続く。
2015/04/13
そうたそ
★★★★☆ 馳さんの作品は好きだし、オウムの一連の事件も興味がありジャンル問わず色々読んだが、この作品は意外にもノーチェックだった。事実を描くことも大事にしながら、著者の持ち味であるノワール色を巧みに織り交ぜたような巨編に仕上がっていた。凶悪な新興宗教団体というものからして既に危険さが感じられるが、そこに政治やら、警察内での利権が絡まり合い、話は複雑な様相を呈する。だが決して話は中だるみもせず、この長さながら最初から最後まで爆速で進む。著者の作品の中でもベスト級の傑作だろう。
2020/12/28
ミシェル
まあ、オウム真理教なワケだが、果たしてどこまでがホントで、どこらが嘘なのか、けっこう境界は曖昧。悪徳公安刑事の立ち振る舞いが素敵に破滅を予感させる。 ★★★★★ 主人公の破滅願望ともとれる立ち振る舞いは、いつもの馳ノワールですね。
2012/04/01
ウメ
欲望まみれのぐっちゃぐちゃしたものが読みたい時は馳星周に限る!各人の際限無い欲求に足をとられて、新興宗教の底なし沼にズルズルはまっていく感じがたまらん!思考を放棄して誰かに身を委ねきることの恐ろしさよ。
2013/12/13
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