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サラバンド・サラバンダ

サラバンド・サラバンダ

サラバンド・サラバンダ

作家
藤沢周
出版社
新潮社
発売日
2016-04-27
ISBN
9784103163329
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サラバンド・サラバンダ / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

タイトルに魅かれて購入。タイトルからは、南欧かラテンアメリカのどこかを舞台に、夜の闇の中に灯る明かりを背景にけだるく、物憂げな、それでいて情熱を秘めた物語を想像していた。そして結果は…というと全く違っていたのである。50歳を過ぎて、初老の域に入ろうとする男性の物語が10篇。いずれも主人公は男の一人称語りであるか、あるいは「男」と三人称で称されるかである。ただし、匿名性を用いることで読者との同化を図っているのではない。むしろそれは作家自身の客体化を定位させるためであったのかも知れない。

2019/10/20

南雲吾朗

哀退して行く生。人生の黄昏。黄昏といっても夕焼けが映える綺麗な情景ではなく曇天の暗い夕暮れ時。そんな思いを浮かばせる短篇。「厖大な明るい洞とも思える空は、物思うことをせせら笑うかのようで、言葉をひっかけようとしても、あっけらかんとしている。」「浸された角砂糖の様に今にも崩れそうな危うさを愛おしく思えるのも、中年。」こんな美しい表現でここまで退廃的で艶めかしいストーリーを綴る文才がまさに凄まじい。藤沢周は天才である。異彩を放つ文章とその構成。歳を追う毎に凄みが増してくる。いったいどこまで行ってしまうのか?!

2019/11/05

Emperor

前10編。ページ数に斉一性があって、単純にビジュアルとバランスの良さに惚れ惚れしてしまいます。藤沢周さんの作品は、難しい言葉がおおくて辞書の出番が増えますが(調べてみたら仏教用語だったりする)、光明真言が出てきたときはもう最高すぎて笑うしかありませんでした。

2017/11/07

なっく

中年男の悲哀かと思いきや、なかなかどうして、生にも性にも執着し、死への不安を抱えながらももがき続ける。いいじゃないか!まだまだやれるとこまでやってみよう、早く逝った友への弔いの気持ちもパワーに変えて。

2016/09/23

踊る猫

久し振りに読む藤沢周作品。やはりというか、独自のピリピリした緊張感の高い文章は読んでいてクセになる。書かれているのは老境を意識した男たちの悲哀なのだけれど、古井由吉氏のような枯淡の境地に達しているわけではなく、女性に対するエロティシズムが溢れているところが藤沢氏らしいというかなんというか……どの作品もその短さにおいて物足りなさを感じさせる反面、この短さが藤沢氏の作品の魅力を引き出しているとも言えるのだから悩ましい。デビュー当時のソリッドさを保ちつつここまで来られたというのは凄いことなのだろう。是非再評価を

2017/01/28

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