輪廻の暦
輪廻の暦 / 感想・レビュー
あつひめ
波瀾万丈という言葉が合うのかどうか。有名作家の父とこの上なく人間臭い母。家庭とういう温かみとは、縁のない子供時代。そんな主人公ふたば。文学とは、無縁だったものがこうして花開くのはやはり、才能と縁なのかもしれない。母とは、どうしてこうも重たい存在になるのか。それは女という同じ性別のせいもあるかもしれない。それでも共に暮らすというのは血の繋がりに心のどこかですがる部分もあるのかもしれない。親との関係は他人との関係よりも面倒で腹立たしく苦しいことばかりだが自分の意志で打破するしかないんだな…と思った。
2014/02/03
冬見
夫との離婚後に始まる母との再会と生活、そして死。最後、思わず涙ぐんでしまった。不遇の少女時代から、過酷な結婚生活、再会した母との苦しい同居生活。絶えず困難にさらされ、傷まみれのからだで容易ではない道のりを歩いてきたけれど、ここに辿り着けてよかった。長年の苦しみからの解放と自分の人生を自由に生きることへの喜びと自負を文章の節々から感じ、心の底から嬉しく思った。『蕁麻の家』から始まった3部作はこれにて完結。まさか、こんなに明るいところへ来ることができるとは。本当に、幸せになれてよかった。
2019/01/13
ossa
確認のための読書。8歳の時に家を出た母を最後引き取って暮らす。それがどういうことなのか知りたかった。著者は萩原朔太郎の娘。自伝的小説。辛い少女時代、結婚生活、母や妹との葛藤、それを乗り越えて人生を切り開いていく様は救いのあるものだった。
2011/08/05
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