したくないことはしない
したくないことはしない / 感想・レビュー
踊る猫
傍に居た人だからこそ語れた伝記。なによりも、文章が気持ちが良い。「ファンキーじいさん」植草甚一のヒヤヒヤしてしまうような言動を暖かく見守り、しょうがない人だなと私たちと共に呆れ、でも突き放さない。植草甚一を闇雲に聖人君子にしないその姿勢に、私は他でもない著者の知性と温厚さを見出してしまう。津野海太郎、なかなか侮れない書き手と見た。社会学や文学の視点から見ればこの伝記は薄いかもしれないが、研究書にはないそうした温もりが本書をブリリアントなものにしていると思う。エゴを押し出さない編集者の書物は気持ち良く読める
2019/12/02
mstr_kk
津野海太郎の書いた、植草甚一の伝記。すばらしい面白さ。そして、読みやすいものの情報量はめちゃくちゃ多く、読み切れた気がしません。植草甚一の晩年は楽しそうで、憧れる気持ちはよくわかりました。見習いたい。
2019/01/23
Susumu Kobayashi
植草甚一の生涯を、編集者としてつきあいのあった著者が描いている。特に、敗戦までの時代に重点が置かれていて、およそ八割を占める。植草甚一に関心のある読者(ミステリ、ジャズ、映画関連)には興味深い。当然ではあるが、好きな生き方を通すためにはさまざまな苦労を強いられることになる。われわれも苦労とバランスをとりながら、より好ましいと思う人生を送るようにしなければならない。とりあえず、やりたいことはさっさとやった方がいいというのが、亡き父から得た教訓である。
2018/01/05
weiss
植草初心者には不向きの書だが、植草甚一をを植草甚一たらしめる活動は、死ぬ前のわずか10年足らずだった(もちろんそこに至るまでは大変な蓄積があったのだが)、とか、植草ブームを支えた裏には前衛芸術活動の隆盛や、高度経済成長による物欲礼算のムードなどがあった、などなど細かい知識はたくさん拾えて個人的には大変面白かった。
2009/11/19
Saku
植草甚一が好きなことを続けられて来たのは、少なからず奥さんの理解と家計のやりくりのうまさがあったからってことが分かった。
2011/09/24
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