戦い続けた男の素顔: 宮部みゆきオリジナルセレクション (松本清張傑作選)
戦い続けた男の素顔: 宮部みゆきオリジナルセレクション (松本清張傑作選) / 感想・レビュー
gtn
「田舎医師」「暗線」等収められた短編に通底しているのは、人生の不合理。著者はそれに拘泥し、憤ってもいるが、最終どうなるか分からないと諦観している。
2022/10/17
キムチ
自殺以外は血も流れることなく、昭和初期の世相が恨み節と言う感じで流れる。 「絵葉書の少女」のラストで「この話、小説になりませんか」には微苦笑。テレビインテレビみたいで。 今より「世間は常識の枠を作り、それにはめられたら どん箱とでも単純に公式化」されていった社会で抗う惨めな人生が哀しい。 「流れの中に」で語る父・・「法律を知っていた事」で世渡りに武装していたつもりだったが 生半可な知識なぞ何の役にも立たないといいきっているのは清張自らの声と感じた。
2013/10/16
Asako Nakamura
繰り返し同じような設定でありながら、それぞれ少しちがう。その設定の中で作者は何を語りたかったのでしょうか。或いは何が語れないと思って続けたのでしょうか。私のような清張さん初心者が読むにはちょっとツラかったです。
2017/04/21
Higashiyama Shin
清張、私小説的な色合いが濃い作品群。「ひとり旅」「絵はがきの少女」が好きでした。主人公が憧れた絵はがきの少女がたどる流転の人生は、ドラマチックだが、他人にしてみたら小説のネタにもならない。この台詞の切れ味がお見事です。清張が神の目線で物語りを紡ぐ。作者である自分自身を含め、特定の人物にこだわらない。いや、こだわらないという事にこだわる。一人の人間の存在は、社会にとって小さな儚いものだと語っている。と宮部は解釈している。
2015/08/08
RK59320
宮部みゆきベストセレクションという別シリーズも含めて、選ばれている作品は読み応えがあるものばかりである。「泥炭地」の最後が、松本清張作品としては珍しく救いのある終わり方になっていて新鮮であった。これで松本清張傑作選は全て制覇した。この中から、あえてベスト3を選ぶのであれば「点と線」、「草」、「鬼畜」である。
2014/03/30
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