非写真
非写真 / 感想・レビュー
とろこ
ジャンルとしてはホラーなのだと思う。けれど、怖さはさほど覚えない。それよりも、物語の根底に哀しさが流れ、それに対する祈りが描かれているように感じた。東日本大震災にまつわる「さるの湯」、「合掌点」は哀愁を漂わせていた。「約束」にはほろりときた。小説と写真の違い、という視点は興味深かった。目に見えるものと、カメラを通してしか見えないもの…。身近に常に存在しながらも、人が感知できないものが、写真に映り込むことが、ないとも言い切れない。
2018/09/09
ミーコ
初めての高橋作品。表紙と帯に惹かれて読んでみました。「さるの湯」と「非写真」が1番 心に残りました。最後にゾクリと来ますが もう少しホラー色の強い本を読んでみたい気も・・・。直木賞授賞作も読んでみたく思います。
2015/01/05
風眠
カメラと写真をテーマにしたホラー短篇集。はっきりと分かりやすく死者が写り込んでいるのではなく、写真を拡大してみたら、すっごい小さく写っていたとか、いかにもありそうな設定。「あなたが気付いていないだけですよ」って言われたようで怖い。亡くなった方たちが笑顔で、生前と変わらない姿で写真に写り込むという、東日本大震災にふれた物語は、怖いけれど何だか安心するような切ないような読後だった。芸術の中での写真と小説についての言及が素晴らしかった。でも読むのやめておけばよかった・・・だって後からじわじわ怖いんだもの。
2014/12/06
きつねこ
大好きな高橋克彦先生!の写真とカメラを軸にしたホラー。前半は大震災のあと。たぶん語るひとが次は召される人になる。連作。後半はまるで高橋先生が主人公となり語自らの体験として語る、これまた連作 (と言い切る私)。実在の人物がわらわら登場しエッセイのような高橋節でいつの間にか非現実に。その間にはいるのが『約束』。ほろ苦い青春の想い出。いいはなしやなと思ったら、でも最後に禁忌を犯す。やっぱりいいなあ!痺れます~。この語り口。空気感!残念なのは既読が二編ほどあったこと。高橋先生と北村薫先生は何十回も再読したくなる~
2014/10/06
Yu。
ファインダー越しの世界は必ずしもありのままの現実を写し出しているとは限らない‥ そんなカメラに纏わる奇妙で不可思議な九つの幻想譚。。魅せられます‥全体的にエレジー伝わる大人な深みが既存の怪談を凌駕する。で今回はどれもが甲乙付け難いほど面白い‥が、なかでもノスタルジックな様相からの急転直下な落とし技がたまらない究極の九相図「遠野九相図」は特に印象深い。
2018/05/23
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