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晴天の迷いクジラ

晴天の迷いクジラ

晴天の迷いクジラ

作家
窪美澄
出版社
新潮社
発売日
2012-02-22
ISBN
9784103259220
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晴天の迷いクジラ / 感想・レビュー

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yoshida

生きることは様々な現実に折り合いをつけ、自分を納得させることだと思う。あまりに過酷な現実と出会ったとき、折り合いをつけれずに人は絶望し最後には死を考える。由人、野乃花、正子、3人の現実は重い。特に野乃花の背負った十字架と、東京で走り続ける毎日は重く辛い。結論として人間は生きている限り精一杯生きねばならないと思う。生きていればこそ、背負う十字架が少し軽くなるかもしれないし、思いもよらない誰かから救いがあるかもしれない。死は全ての可能性を否定する。だからこそ生きねばならない。その先に光があるかもしれないから。

2017/10/10

ろくせい@やまもとかねよし

他人から発せされる生きてほしいとの望み。生きる大きな動機だと確認。理不尽な利己的な利他で苦しめられる主人公の3人。体が弱く勉強もできる兄と突如非行に走った妹で、結果として無関心が両親の愛情だと受け止めてきた20代男性。貧困な家庭で得意な絵画の先生から強要された性行為による妊娠と結婚から発覚する両親の歪んだ感情を受け止めきれなかった40代女性。幼く死んだ姉への両親の愛情が一方的で異常な過干渉となり、それに無気力として抗う10代女性。自虐的に死を抱える彼らは血縁とは無関係な利他思い遣りで生きる希望を見出す。

2021/12/15

風眠

過干渉、育児ノイローゼ、ネグレクト、言葉にするとひどくシンプルになってしまうが、そうなっていくまでの経緯はとても複雑だ。こういう原因があったからそうなってしまった、ということだけでは説明できない。登場人物それぞれの生育歴が丁寧に描かれていて、読んでいてとても苦しかった。ひとりひとりの寂しさに胸がつまった。3人でクジラを見に行くことで、希望が見えるのかと思いきや、そうは描かない作者の容赦の無さが私は好きだ。徹底したリアリティに、ぐいっと胸ぐらを掴まれるような物語。

2012/07/02

kommy

心に闇を抱え、死を願う3人。どう足掻いても救われない彼らの日常が、鯨を見守る人々との関わりで、絡まった糸が解けていくように救われていく。3人の心情が細やかに表現されいて、読んでいてとても苦しかったが、どのエピソードも共感させてしまう窪さんの文章力が素晴らしい。生きるってしんどい。だからこそ生きるって尊い。生きることに疲れた人に読んでほしい本です。

2016/10/28

takaC

のめり込んだ。面白かった。充足感を得た。

2012/10/09

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