きことわ
きことわ / 感想・レビュー
ヴェネツィア
2010年下半期芥川賞受賞作。同時受賞の西村賢太『苦役列車』とは、あらゆる意味で対照的な作品。片や汗と酒の匂いが充満していたのに対して、こちらは清潔そのもの。しかも、その実体感もまた茫洋とした中空に漂うかのよう。不思議な触覚が主人公2人のそれぞれに訪れ、そのことはこの小説の核の1つになっているのだが、それしもさりげない表現の中に溶解している。表現の癖もいささか気になるところ。「からがる」、「かしげる」、「ほっくり返す」など前2者は辞書にもあるものの、あえてこの言葉にする必要性は疑問。読者への意識が希薄か。
2013/07/20
遥かなる想い
第144回芥川賞(平成22年)受賞作品。宮本輝が「◎」をつけ、ジグソーパズルの小さなピースに精巧に ピースを埋め込んで完成させた抽象画のよう・・と評した 本書をようやく読んだ。 25年という時空を超えて 再会した貴子と永遠子。 「きことわ」とは その「きこ」と「とわこ」の組み合わせなのだろうか? お互いの記憶を確かめるように 現代と過去を行きかう 文章は上品であり、ぼんやりした過去の記憶が 再会により 訂正されていく・・という感覚は読み取れるが あまりにも 展開が少なく五感を刺激することもなく読了。
2013/05/26
射手座の天使あきちゃん
時計の文字盤が「ぐにゃり」と歪んでしまう四次元の世界に踏み入れたような不思議感! うーん、これが純文学なんですね!? <(^_^; 単語や表現は流麗と思いますが・・・ 修行不足の私では歯が立ちませんでした、再度出直してまいりますぅ!!(笑) m(_ )m
2011/09/08
とら
芥川賞受賞作品。言葉選びの巧さ、使い方の綺麗さ、物語の美しさ...色々な面で脱帽です!でも、やはり内容はよく分かりませんでした。今のところ芥川賞で純粋に楽しめたのは「蹴りたい背中」のみ...。う~む。まあ、実はこういうものが芥川賞なんだということは分かってるし、分かったうえでこういうのが読みたいだけなのですw純文学。読者に考えさせるような、それ上ページ数が少なく、書きたいことが収縮されている。これです。そう、一言でいうと『深い』んです。読書という手段で、こういう世界観に浸かりたかった。今回も堪能しました♪
2012/06/28
kishikan
朝吹真理子さん、初読み。第144回芥川賞受賞作ということで、書評など事前情報なしに購入。芥川賞の全てを読んでいるわけでもないが、近年の芥川賞作品ってちょっと?。この「きことわ」については、日本語の良さを本当に出しているっていう気がして、朝吹さんの文章力はスゴイ!と思うのだけれど、小説としてみた場合、ストーリー展開の斬新さや主張といった点では、どうなんだろう。でも現実と夢の間、過去と現在を交錯した物語だから、全体がパステルカラーのイメージの物語になっているところは、実力ある作家さんの技ってことでしょうかね。
2011/03/03
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