マボロシの鳥
マボロシの鳥 / 感想・レビュー
ちはや@灯れ松明の火
君はこの鳥の翼にどんな色彩を見るのかと、芸を生業とする男は語り出す。此処とは違う場所で、此処かもしれない場所で生まれ落ちる寓話の欠片。いじめ、戦争、テロリズム、人が犇めく地球を覆う不穏な空気、破滅への予感、留まることを知らぬ愚かさ加減を彼は嗤い、けれど、人は滅びるに値するのかと問う。家族へと遺した言葉、嫌われ者の揺るがぬ誇り、砂の町で少女が見た光の雪、銀河の果てに待つ友を思う老人たち、人が世界を美しく色染めることは叶うのかと。さて、君はこの鳥の翼にどんな物語を、マボロシを見るのだろうかと、彼は笑う。
2011/02/25
財布にジャック
爆笑問題の太田さんだと思うと、そういう先入観で読んでしまったのがいけないのか、イメージした物と違ったのでイマイチ入りこめなかったんですが、表題作の「マボロシの鳥」だけはご本人の気持ちの入った素敵なお話でした。きっと、これが書きたかったのではと思わせる力作です!これだけをもっと長編で読みたかったなぁというのが正直な感想です。
2011/10/31
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
作品ごとに異なるスタイルや、意外にも文学テイストいっぱいなところに驚かされた。ただ、メッセージを織り込んだ童話のようでありながら、抽象的すぎるせいでそれがうまくつかめないところもある。著者の日ごろの言動からなんとなく言いたいことが分かるだけに、それが作品を通じて浮かび上がってくるような作品に仕上がっていればと思う。そこに物足りなさはあるが、父との確執に悩む女性を描いた「冬の人形」など、人の思いがじんわりと伝わってくる作品もあり、それはよかった。次作があれば読んでみたい気にはさせる。
2011/02/01
ひめありす@灯れ松明の火
さて、あなたは掌に大切なものを手に入れました。あなたはこれから、どうしたいですか?①なくしてしまわないように、力強く握っておく。②壊してしまわないように、なるべく触れない。どちらが正解かは、問うまでもないだろう。マボロシの鳥は、誰かが触れることも叶わず、またその人によって姿を変えて、誰一人として同じ姿を見ることはできない。それは心に浮かぶ、愛の形。けれどもし、私が/あなたが空を見上げ、マボロシの鳥の姿を認めたなら、共に手をつなぎ、微笑みあってこう呟こう。『……この世界はきっと、どこかと繋がっている』
2011/09/15
そのぼん
図書館で偶然この作品を発見し、話題になった本なので手に取りました。テレビで見ている太田光のイメージとは違って、童話っぽい雰囲気の作品でした。結構、さらっと読めました。例のテロをモチーフにしたところは太田光っぽいかな、と思いました。
2011/10/11
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