たそがれ清兵衛
たそがれ清兵衛 / 感想・レビュー
てんちゃん
ずっと気になっていた藤沢周平。夏の新潮100冊に選ばれていたことをきっかけに読むことができました。評判に違わぬすばらしさ。しっとりした空気感、人情味溢れるストーリー、魅力的な登場人物達…。時代小説っていいですね。普段はうだつがあがらず人々に侮られているのに、実は剣の名手である8つの短編の主人公達。大体同じような設定なのに、よくこれだけのバリエーションで書き上げられるものだと驚きです。どの作品もいいけど『祝い人助八』がベストかなぁ。ラストの情感にやられました。藤沢周平、また読みたいです。
2016/07/09
星落秋風五丈原
「24時間戦えますか」というキャッチコピーがかつて流行した。失業者が多く残業の多い昨今あまり笑えない。さて、現在の武士(もののふ)達はといえば、城をオフィスビル、刀をパソコンに置き換えて、24時間とはいかないが、やはり長時間働いている。そして仕事が終わればだんだんと、心の鎧を解いてゆき、家に着いた時にはすっかり緊張を緩める。もちろん戦闘服も脱ぎ捨てる。ところが江戸時代、家に戻っても働き続けた24時間男がいた。井口清兵衛がその人だ。彼は下城の太鼓が鳴るが早いか、同僚達ともつき合わず、家にまっすぐ帰る。
2004/08/29
スイッチ
「たそがれ」「ごますり」「だんまり」「日和見」等のあだ名で皆からさげすまれつづけた侍が実は剣の達人で割る物を懲らしめる痛快時代劇の短編8作品。人情があふれる主人公は、出世街道からハズレ気楽な生活を楽しんでいたが、・・・。爽やかな読後感がたっぷりと得られますし、やっぱり読んどかなきゃネ!
2020/04/01
しーもあ
今更ながら、、、ですが(笑)読んでみました。時代小説は好きでも、いわゆる剣豪小説は苦手意識があって、初藤沢作品です。サクっと読める短編集で面白かったです。
2016/10/23
Yoichi Taguchi
表題の『たそがれ清兵衛』も含めて8編の短編集。いずれも在野に埋もれている下級武士の話でその実“剣客”という設定は全ての短編で共通イメージ。8編ともに最後の数行がとても良い。終わりよければすべて良し的なものとは違い、“何となくこれでいいんだよな”的なほんわりした終わり方で、ある意味、清涼感すら感じる。“たそがれ清兵衛”の映画は見ていないが、この短編を原作にしたら、相当に肉付けしないと映画にならなかったのでは。
2016/05/26
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