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逃亡

逃亡

逃亡

作家
帚木蓬生
出版社
新潮社
発売日
1997-05-01
ISBN
9784103314080
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逃亡 / 感想・レビュー

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Gemi

おぉー、読み応えがあった。ただの戦争物にはない重厚さ。戦時中の雰囲気とは恐ろしいもので、人を殺すことが正当化されてしまう狂気が蔓延っていた。憲兵として日本の為に香港での諜報活動に勤しんでいた守田。敗戦後の身の振り方を模索し、艱難辛苦を乗り越え故国に辿り着く。だが待っていたのは「戦犯」の2文字。なんとも言えない戦後の日本の陰鬱な空気がこの本には詰まっていた。「永遠の0」みたいな本もあれば、この角度からの見方もあるのだなと。日本人なら一読の価値があり。忘れてしまいがちな戦争の記憶を後世に伝える素晴らしい作品。

2014/03/15

B-Beat

◎表紙裏の説明文に「感動の2000枚」とあるが文字も小さい2段組622ページの大作。作者の書くべきものは漏らすことなく一切の無駄もなく1冊の本として書き上げたかったというような気迫が伝わってくる作品だった。宮本輝作品の「流転の海」シリーズが作者の父親をモデルにしているようにこの作品も作者の父親がモデルらしい。そこには父の事を是非書き記したいという執念もあったのかなと。先の大戦に運命を翻弄されたひとりの男。そして引き裂かれた家族。作者自身であろうあどけない赤ん坊の描写には思わず涙ぐんでしまった。

2012/12/02

hirofumi

自分史上、最高の本との出会い。1人の憲兵からみた太平洋戦争がリアルかつ感情豊かに表現されている。桜田門で夫婦が再開する場面ではうるっときてしまった。帚木さんの著書をもっと読みたい。

2016/02/14

ミーサ

新聞に作者のインタビュー記事があり、自分の知っている父親は放蕩三昧で、人生のうち数分間しかまともに話したことがないとの話に衝撃を受けました(作者は次男)。その父親の戦時中の体験を調べ、それを元にしたのがこの本だと聞き、手に取りました。戦争に関する本は幾つか読みましたが、「憲兵」側から見た戦争は初めてで、何とも言葉が見つかりません。戦争によって、どういう事が起きていたのか、まだまだ知らない事ばかりです。

2016/08/27

Junichi Watanabe

読了。終戦によって憲兵(特高警察)の主人公は、戦犯として追われる立場に。大陸から偽名を使いやっとの思いで日本へ帰ってきたが官憲におびえる日々。捕まれば極刑は免れない。アメリカは原爆を落とし民間人を多数殺戮しているのに罪に問われず、なぜ日本人だけが「戦犯」として裁かれなければならないのか。そんな戦争の理不尽さが伝わって来ました。

2016/01/29

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