聖灰の暗号 下
聖灰の暗号 下 / 感想・レビュー
榊原 香織
オキシタン語!主人公は日本人だけど、その言語と仏、ラテンに堪能な歴史学者。 地域の料理がおいしそうで。ヴィクドソス特産、アリエージュの地ワインを温めて砂糖、キャネル、胡桃の粉を入れた飲み物、どんなだろう。 歴史だけでも十分面白いので、無理やり暗号ミステリにしなくても。 完読
2021/09/09
AN
時間がかかりましたが何とか読みきりました。中世のフランスで過酷な弾圧を受けたカタリ派と呼ばれるキリスト教の民衆運動について、その記録を巡る事件が大筋です。『薔薇の名前』などでも宗教弾圧の激しさは描かれていますが、この本に描かれている弾圧の悲惨さは読むのも辛くなるものでした。何処までがフィクションなのかと思っていましたが、巻末の参考文献をみると入念に調査を行って書かれた小説だと分かりました。中世の宗教弾圧に興味のある方にお勧めしたい一冊だと思います。
2021/07/02
クリママ
「私は悲しい」という詩で始まるこの作品は、巻末に、「本書は「手稿」も含め創作である」という但し書きがあるほど、どこまでがノンフィクションであるのかわからない。「手稿」、本文を読み進めるに従い、詩の重みが増し、涙が流れる。700年前の事柄の解明は、興味深く、帚木作品としては、ミステリー色が強く、ロマンスもある。作者の思いも感じられる。ただ、平民の一家系が700年も土地や言葉を守り続けることには、無理があるように思う。私の知りたかったことの答は、神の言葉を持っていたとしても、持っているのが人だということか。
2017/08/21
藤枝梅安
この作品は14世紀に記されたドミニコ会修道士・マルティの手稿の部分と、須貝を中心とした現代のストーリーを交互に編んである。須貝の恋人・クリスティーヌの先祖と思しき人の名前が出てきたり、手稿の筆者・マルティ自身の両親に関する記述が出てきたりと、「歴史ロマン」色満載の作品。仏文科を出て精神科医となった筆者のフランス語と医学の知識がふんだんに盛り込まれている。マルティの手稿の部分は筆者の創作となっているが、筆者自身の信仰告白ともとれる深く真摯な内容となっている。
2010/09/23
りょうけん
<衝> 【注:本感想文はかなりのネタバレになっています。すまぬ】 さて下巻はいきなり過去のその出来事の詳細な記述から始まる。上巻の読了から少し時間が空いてしまったので読み始めた瞬間は これは一体なんだっ と思ってしまった。しかしあまりにも衝撃的な内容で一旦置こうと思っても読むのが止められなくてそのままどんどん読み進む。そしてとうとう,あ これは上巻の最後でようやく見つけた件の 古き手稿だ と言う事に気づいた。そういえば体裁も全体にページの中で一段下がって配置されていて何だか違うなぁと思ったのだった。
2023/04/13
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