水神(上)
水神(上) / 感想・レビュー
ケイ
水がない土地で耕す農民の辛さ、苦労がひしひしと伝わってきた。水田に、水を引くということがどれほど大切なのか思い知らされる。五人の庄屋の想いの強さにも感服した。ただ、登場人物が本当にいい人ばかりで本当の悪人が見当たらないのが、少し現実味を欠く。上巻の終わりがとてもほのぼのとさせるものだったのが、却って不安だ。下巻では、うまく工事に取りかかれるといいのだが。
2014/01/03
も
オイッサ、エットナ。オイッサ、エットナ。今日も伊八と元助の打桶の掛け声が聞こえる。目の前を筑後川が悠然と流れているのに、土地が高いために田畑に十分な水を与えられない。日照りで稲は枯れ、大雨で稲が流される。暮らしがいっこうに楽にならない村人たちと後世のために堰を造ることを決めた5人の庄屋。いよいよ工事が始まるかというところで上巻終了。五庄屋の覚悟が並大抵ではありません。無事に工事が終わることを祈るのみですが、下巻はどうなるのでしょう。
2016/07/14
tomi
目と鼻の先に筑後川を臨みながらも水利に恵まれない久留米藩江南原一帯。水不足による貧しさに長年苦しめられてきた百姓たちを救うため五人の庄屋が立ち上がる。史実を基に、川に堰を築くために奔走する彼らの苦闘を、生涯を「打桶」に費やす二人の農民の姿を絡めながら描く。正に命懸けの事業が始まる下巻へ!
2017/09/21
ゆみねこ
筑後川のほとり、水利に恵まれない村の百姓たち。黙して泣き続けるより身命を賭し戦って散った方がいい。五人の庄屋の決死の嘆願が老武士の心を動かす。ようやく筑後川の堰の工事が決まった。川の水を桶でくみ上げて溝に流す作業を毎日やり続ける伊八と元助。当時の百姓の労苦がしのばれる。さあ下巻へ。
2013/01/18
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
そこは水の恩恵からは程遠い地だった。日照りが続けば田畑は干上がり、逆に大雨が続けば洪水となる。貧困にあえぐ百姓を救うべく、五人の庄屋が今立ち上がった・・。筑後川四堰と呼ばれる固定堰の一つ、大石堰の建設を題材にした物語。帚木さんが時代小説!?とかなり意外な組み合わせでしたが、なんのなんの!グイグイ読めました。例えそれが正しいことであっても、ちょっとした感情の行き違いでおいそれとは認めることができなくなる。何かを始めることは本当に難しい。気になる下巻へ!★★★★
2011/07/29
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