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蛍の航跡: 軍医たちの黙示録

蛍の航跡: 軍医たちの黙示録

蛍の航跡: 軍医たちの黙示録

作家
帚木蓬生
出版社
新潮社
発売日
2011-11-22
ISBN
9784103314202
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蛍の航跡: 軍医たちの黙示録 / 感想・レビュー

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KEI

巻末に記された多くの資料は医事新報に掲載された元軍医の手記であった。800万人とも言われる兵士とともに極北の地から赤道直下の広範な国々に兵士と共に派遣された医師の数はどれほどのだったのだろう。230万の戦死者の6割が餓死、病死とも聞くと、兵站や薬の補給も無いままに、なす術が無かった軍医達の無念さが伝わってくる。もとより資源の乏しい小さな島国が世界を相手に義の無い戦に勝てるはずは無いのだ。この無駄な死をこれからの外交や政治に生かして欲しいと思う。それこそが鎮魂であろう。

2018/03/18

クリママ

軍医たちの記録。軍医であることは兵士とともに行動するということ。飢餓、傷病、治療をしたくてもできない状況。広くアジアのほとんどの地域に出征し、その地域や階級により、戦争の実相が大きく異なる。有能な人材、いや、大切に育てた息子、愛しい夫、頼るべき父親が、死んでいく。戦闘ならばともかく、飢餓や病気で、行き倒れ、遺体もそのままだ。そんな状況を内地で待つ人が知っていたのだろうか。私の周りには、もう戦争を体験した人がいない。でも、語り継がなければいけないと思う。たとえ、これからの戦争の実態が変わっていくにしても。

2017/10/01

藤枝梅安

「蠅の帝国」に続く、軍医の手記を再構成した壮絶な15編。日本軍部は、「大東亜共栄圏」として版図を広げたが、兵站が追い付かず、病死者・餓死者が見捨てられていった。現地住民の生活を破壊しつつ領土を広げ、その挙句、戦闘の前に多くの兵士が死んでいった。実は「大東亜虚栄圏」だった。絶望の中で笑いを見出そうとする兵士達。命を捨てて祖国を守る気概の中に、「この戦争は勝ち目がない」と判断する冷めた目が存在する。筆者は残された手記をもとに戦時中の「事実」を丹念に書き綴る。それはあたかも死んでいった先達への鎮魂と懺悔である。

2012/02/19

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

第二次世界大戦に従軍した、15人の軍医達の手記風の短編集。シベリヤやインパール、ニューギニア、フィリピンでの戦場である。肉塊になった体や、マラリア、極限の栄養失調、そして飛び交う砲弾や銃撃と闘う。彼等が虚しく消えていく命をどのように見送ったか、食べ物や薬、器具がない為助けられなかった事をどんなに無念に思ったか、生きていたらその後充実した人生を送っただろう同僚達の死をどんなに悼んだか、これを読むとひたすら無駄で非常識な戦争というものを、つくづく考えずにいられない。

2018/09/24

不羈

冒頭の話はインパールに関するもので元々興味があり必読!そんな経緯が在ったなんて。巻末の参考文献も読みたいものが多いものの購入できるレベルなのだろうか? 読後は、やはり始めるべきでなかった戦争への疑問と牟田口氏のような人材がのさばった当時の軍隊への疑問。 補給が途絶した中で出来ること、出来ないこと。麻痺していく従軍医師の方々。 戦争へ駆り出された人々のその殆どが市井の普通の方々。そういった人たちが先ずくなっていく。一方で戦争遂行や戦略を進めた人たちは??現場を知らない上層部をもった哀しさをヒシヒシと感じる

2013/03/31

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