暗幕のゲルニカ
暗幕のゲルニカ / 感想・レビュー
W-G
面白かった。ゲルニカのコンディションが移動も困難なほど悪いというのは知らなかった。そこが物語のひとつの核になっているのだが、この物語の顛末を美談と捉えられるかは読み手次第だろう。ちょっとポピュリズムに迎合している感がしないでもないが、総じて上手く着地している。しかし、どちらかと言えば面白かったのはドラ・マール視点の章。ピカソの内面描写を作り込むのではなく"ピカソを愛した女"の目線で見る事で、テンションが産み出されている。『サロメ』でもそうであったが、芸術家周辺の"持たざる女"の描写が本当に上手だと思う。
2017/02/19
starbro
原田マハは新作中心に読んでいる作家です。【原田マハ×ピカソ×ゲルニカ】で面白くない訳がない!!!本作が原田マハ、マイベストとなりました。やっぱりシリアスなアート小説が著者の真骨頂です。今年のBEST20候補となりました。また本作で次回の直木賞受賞でいかがでしょうか?30年近く前にマドリッドのプラド美術館で鑑賞した「ゲルニカ」が目に浮かびます。現在はソフィア王妃芸術センターに展示されている「ゲルニカ」に再度出逢えたら良いなぁ!余談ですが、原田宗典が著者の実兄であることを初めて知りました。凄い兄妹ですネ。
2016/04/21
サム・ミイラ
一本の絵筆で戦争という人間の最も愚かな行為と闘った男その名はパブロ・ピカソ。そしてあの忌まわしいテロで夫を亡くし正に使命として「ピカソの戦争」展を開催すべく奮闘するMoMAのキュレーター八神瑶子。ピカソと恋人ドラが生きた戦時下のパリと同時多発テロ後のニューヨークを交錯させながら物語は展開する。ゲルニカは今スペインに。だが企画展に絶対必要不可欠なその主役の貸出しには大きな障壁が横たわる。果たして開催に辿り着く事は出来るのか。ピカソが芸術に込めた勇気と平和への祈りは届くのか。楽園のカンヴァスを超える傑作。
2016/11/23
鉄之助
1981年2月、プラド美術館は、もうすぐ帰ってくる「ゲルニカ」を待ちわびるスペイン人で沸いていた。展示予定のコーナーが準備され警備の人たちが早くもスタンバイしていたものだった。確かに「ゲルニカ」はスペイン人(狭い意味ではバスク人)だけのモノではない。人類共有の財産に違いない。本書は、史実とフィクションがうまく融合する力作だった。惜しむらくは、あっけない結末。途中までのハラハラドキドキが結構すごかったので、期待しすぎか……。
2017/07/11
遥かなる想い
絵画を通して、偉大なる画家ピカソと スペイン内戦時の欧州を描く。 奇妙なことに 本書を読んでいると、なぜか コナン君の映画を見ているような気になる.. 「ゲルニカの惨劇」と第二次世界大戦の 欧州を舞台に設定した発想は素晴らしく、 絵画がもたらす 絢爛豪華な雰囲気がとても楽しいのだが.. やや強引な展開が少し気になる物語だった。
2016/09/22
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