発語訓練
発語訓練 / 感想・レビュー
ばりぼー
およそ30年ぶりの再読。W・C・フラナガンというアメリカ人の書いた珍妙な日本論を、小林信彦氏が翻訳したという形式の「素晴らしい日本野球」「素晴らしい日本文化」を始め、奇抜な設定の「異常発生作品群」が収められています。「推理小説のパロディが、結局、推理小説になってしまうように」、文化論のパロディが、立派な文化論になっているところが凄い…。敗戦直後の翻訳推理小説を再現して、長屋に住む酔いどれ助平探偵サム・スペイドが、「するてえと、なにかえ、別嬪さん。」と喋る「翻訳・神話時代」が、語りの面白さでナイスです。
2013/12/03
横丁の隠居
1984年作品。装丁といい、帯の惹句といい、この本をどう売っていいのかわからないのがありありとしているという意味でも面白い。パスティーシュなのだが、パスティーシュの大家、清水義範さんの「蕎麦ときしめん」が1986年だから、小林作品の方が早いのではないか。パロディ(という言葉は小林氏はキライらしいが)の中に批判精神が横溢しているのが大変うれしい。日本がソ連に占領されていたらという「サモワール・メモワール」一作とってみても見事なものだと思う。
2021/07/19
羊男
★★★
1984/05/25
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